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産業廃棄物 2020.06.12

廃棄物に関する法律を徹底解説!産業廃棄物の捨て方・対象者・罰則・事例…etc.

リサイクル廃棄物回収安心第一価格適正化産業廃棄物

廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に沿って適切に扱わなければならないと決まっています。 しかし、廃棄物を日ごろから排出している事業者の中には「実は、産業廃棄物の捨て方を詳しく知らない…」「廃掃法に違反した際の罰則がわからない」という方もいらっしゃるのでは? この記事では、そんな方々へ向けて廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の概要や対象者などを解説! 併せて、具体的な違法行為の事例や罰則もご紹介します。

1.廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)とは

まずは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の概要や制定された背景などについて解説します。

 

1-1.法律の概要

そもそも廃棄物処理法とは、廃棄物の排出抑制とリサイクルの処理適正化にあたり、生活環境の安全と公衆衛生の向上を目的とした法律です。

環境省が昭和45年に公布した法律で、違反すると罰金や懲役刑に科されます。

違法となる行為は、不法投棄や焼却施設以外の場所での焼却など様々。

廃棄方法に関することだけでなく、無許可業者への委託やマニフェストの不交付等も違法行為に該当します。

 

1-2.産業廃棄物とは

廃棄物処理法で、ごみは大きく“一般廃棄物”と“産業廃棄物”に分けられます。

産業廃棄物とは、事業活動に伴って発生した廃棄物のうち廃棄物処理法で定められた20種類に該当する廃棄物のこと。

また、輸入された廃棄物も産業廃棄物に該当すると、廃棄物処理法にて定義されています。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の違いって?特別管理廃棄物や、分別を間違いやすい廃棄物もご紹介

 

1-3.施行された背景・必要性

廃棄物処理法は、生活環境の安全と公衆衛生の向上を目的に施行されました。

廃棄物処理法が公布されたのは、昭和45年12月25日。

高度経済成長により大量生産し、大量に消費する経済構造が進展してしまったため、廃棄物処理法が制定されたといわれています。

法律が成立する前は産業廃棄物が適切に処理されなかったり、不法投棄されてしまったりといった問題が多発。

大気汚染などが問題視されるようになり、廃棄物処理法が必要となったのです。

 

 

2.対象者・排出事業者の責任

廃棄物処理法の対象となるのは、廃棄物処理業者だけではありません。

法律では、事業活動に伴い廃棄物が生じた場合、排出事業者が責任を持って自ら処理しなければならないと定められています。

 

自ら処理するのが難しい場合には業者に委託することもできますが、委託する際には“委託基準”に則った産廃委託契約を書面で取り交わさなければなりません。

他にも、産業廃棄物の処理を業者に委託した場合、以下のような注意点があります。

 

■委託契約

産業廃棄物の処理は、産業廃棄物処理業の許可を得ている業者に依頼しなければなりません。

委託する際には書面による委託契約書を交わします。

なお、収集運搬と処理をそれぞれ別の業者に委託する際には、各業者と直接委託契約を結ぶ必要があります。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

産業廃棄物の処理を業者に委託する際のポイント。産業廃棄物委託契約書作成時の注意点とは?

 

■マニフェスト制度

マニフェスト(管理票)とは、産業廃棄物を収集運搬・処分する際に使う“産業廃棄物管理票”のこと。

産業廃棄物の収集運搬・処分を委託する際に必要となる書類を指します。

マニフェストの発行は法律で義務付けられており、処理後は5年間保管しなければなりません。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

産業廃棄物を収集運搬・処分する際は“マニフェスト”が必要!マニフェストの書き方・運用方法を解説

 

■実施状況の報告

マニフェストを交付した排出事業者は、年に1回前年度のマニフェスト交付等の状況を都道府県知事等へ報告するよう廃棄物処理法で定められています。

 

■処理を行う事業者の責任

産業廃棄物の収集運搬・処理を行う業者は、収集運搬・処理する場所の都道府県知事等から許可を得なければなりません。

また、処理基準に沿い適正に処理する必要があります。

その他にも、マニフェストに必要事項を記入して排出事業者へ返送したり、処理した実績を正しく把握するために帳簿を作成したりといった義務が課せられています。

 

 

3.処理基準・保管基準

廃棄物処理法では、以下のような処理基準と保管基準が定められています。

 

3-1.収集運搬に関する処理基準

・産業廃棄物が飛散したり流出したりしないようにする

・悪臭、騒音または振動など、周囲の生活環境に支障が生じないように必要な措置を講ずる

・収集運搬車には、周囲の生活環境に支障が生じないように必要な措置を講ずる

・運搬車や運搬容器、または運搬用パイプは、飛散や流出、悪臭の漏れがないものにする

・運搬車や運搬船を使う場合には、“産業廃棄物の収集運搬用の車両”である旨を表示し、必要な書面を携行する

・石綿含有産業廃棄物は、他のものと区別して、破砕や混合をしない

・保管は原則禁止。認められるのは、委託した業者が収集するまでの積替え保管のみ

 

3-2.処理に関する処理基準

・産業廃棄物が飛散したり流出したりしないようにする

・悪臭、騒音または振動など、周囲の生活環境に支障がでないようにする

・処理のための施設には、周囲の生活環境に支障がでないようにする

・焼却・熱分解を行う場合は、決められた構造の設備と方法で処理する

・特定家庭用産業廃棄物の再生や処分を行う場合には、決められた方法で行う

・石綿含有産業廃棄物は、石綿が検出されないように溶融するか、もしくは国が指定した方法で無害化処理する

 

3-3.保管基準

・廃棄物の保管は、処理や収集運搬されるまでのやむを得ない期間のみとする

・保管場所の周囲に囲いを設ける

・産業廃棄物の保管場所であることを示す掲示板を設置する

・廃棄物が飛散しないように覆いや梱包をする

・汚水が公共水域や地下水を汚染しないよう、床面を不浸透性材料で覆い、排水溝などを設ける

・廃棄物を容器に入れずに屋外で保管する場合は、決められた高さを超えないようにする

・ねずみや蚊などの害獣・害虫が発生しないようにする

・石綿含有産業廃棄物が他と混ざらないよう、仕切りなどを設けて対策する

・保管量は1日の平均排出量の14日分までにする

 

 

4.代表的な違法行為

廃棄物処理法の代表的な違法行為は以下の通りです。

 

■委託基準違反

排出事業者が、廃棄物の収集・運搬や処理の委託基準に則っていない業者へ委託すること

 

■管理票(マニフェスト)交付義務違反・記載義務違反・虚偽記載

排出事業者が、業者へ委託する際にマニフェストを交付しなかったり、記載事項に誤りがあったり、虚偽の記載を行うこと

 

■電子管理票(電子マニフェスト)虚偽登録

必要事項を電子マニフェストに登録する際、虚偽の内容で登録すること

 

■無許可営業

都道府県知事等から許可を得ず、廃棄物の収集運搬・処理の事業を行うこと

 

■無許可輸出・輸入

環境大臣の許可を得ず、廃棄物を輸出・輸入すること

 

■処理施設の無許可設置

都道府県知事等から許可を得ず、廃棄物の処理施設を設けること

 

管理票(マニフェスト)回付義務違反

排出事業者から交付されたマニフェストを、運搬業者が処分業者に回付しないこと

 

 

5.具体事例

続いて、具体的な違法行為の事例やそれぞれの罰則を、いくつかご紹介します。

 

5-1.【違法例①】廃棄物の不法投棄

廃棄物の不法投棄とは、廃棄物処分場以外に廃棄物を捨てる行為(未遂も含む)を指します。

 

■罰則:5年以下の懲役もしくは1,000万円の罰金、またはこの併科

■対象:不法投棄を行った業者・処理を依頼した排出事業者

    ※なお、法人に対しては3億円以下の罰金が科されます。

(廃棄物処理法第16条、第25条 第1項第14号、第32条第1項第1号)

 

ちなみに、不法投棄による刑事罰の時効は最も重い場合でも5年です。

不法投棄から5年以上経過していれば刑事罰を科せられることはありませんが、時効が成立するのはあくまで刑事罰のみ。

依頼していた業者が廃棄物の不法投棄を行っていた場合、“措置命令”を命じられることがあります。

 

措置命令とは行政処分の一種で、廃棄物処理法の場合、不法投棄を行った場所の原状回復もしくは原状を回復するまでに必要な費用を負担するよう命じられます。

措置命令は刑事罰と違って時効がありません。

そのため、不法投棄の実行から5年以上経過していた場合でも措置命令が下り、巨額の費用を負担させられてしまう可能性がありますので注意しましょう。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

不法投棄をした際の罰則内容・対象・時効。その他の注意すべき違法行為も解説!

 

 

5-2.【違法例②】焼却施設以外で廃棄物を焼却

廃棄物を焼却施設以外での焼却する行為も違法です。

例えば、野焼きなども違法行為に該当します。

 

■罰則: 5年以下の懲役もしくは1,000万円の罰金、またはこの併科

■対象:処理を行った業者・処理を依頼した排出事業者

※なお、法人に対しては3億円以下の罰金が科されます。

(廃棄物処理法第16条の2、第25条 第1項第15号、第32条第1項第1号)

 

焼却施設以外での廃棄物の焼却は煙や悪臭を排出し周囲に迷惑をかけるだけでなく、ダイオキシン類や塩化水素などといった有害物質の発生原因にもなります。

廃棄物はきちんと定められた場所で焼却しましょう。

 

5-3.【違法例③】許可証を持たない業者への委託

許可証を持っていない業者への委託も違法行為に該当します。

産業廃棄物の処分委託を受けるには、“産業廃棄物処分許可証”を持っていなければなりません。

しかし、中には許可証を持っていない業者や許可証を偽造している業者もいるので注意が必要です。

 

■罰則:5年以下の懲役もしくは1,000万円の罰金、またはこの併科

■対象:処理を依頼した排出事業者のみ

(廃棄物処理法第12条第5項)

 

このように、実際に不法投棄などの違法行為を行っていなくても、“排出事業者責任”に問われる可能性もあるので業者選びには注意しましょう。

 

5-4.【違法例④】マニフェストの不交付

廃棄物を処理する際には、マニフェスト(管理票)の交付が必要となります。

マニフェストとは産業廃棄物を収集運搬・処理する際に使う“産業廃棄物管理票”のこと。

産業廃棄物を排出する際には品目ごとにマニフェストを作成し、廃棄物の種類や量・運搬業者などを細かく記入した上で廃棄物と共に処理業者に交付します。

マニフェストの交付は法律で義務づけられているため、交付していない場合は違反となるため注意が必要です。

 

■罰則:1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金

■対象:業者・処理を依頼した排出事業者

(廃棄物処理法第12条の3第1項、第27条の2、規則 第8条の21、同条の2)

 

原則、マニフェストは依頼主である排出事業者が交付するよう法律で義務付けられています。

交付し忘れてしまうと上記の罰則を科されてしまうので、廃棄物の処理を依頼する際は必ず忘れずにマニフェストを交付しましょう。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

廃棄物処理のマニフェストとは。違反した際の罰則や運用基準などをご紹介!

 

 

6.法改正後の注意点

廃棄物処理法は成立後、時代のニーズに合わせて何回も改定が行なわれています。

特に近年大きく変化したのは、2020年4月の法改正です。

特定の事業場を対象に、電子マニフェストの使用が義務付けられるようになりました。

電子マニフェストの使用が義務づけられている事業場は以下の通りです。

 

<電子マニフェストの使用が義務づけられた対象事業場>

▶前々年度の特別管理産業廃棄(PCB廃棄物を除く)の発生量が年間50トン以上の事業場を設置している排出事業者で、当該事業場から生じる特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の処理を委託する場合

 

もし電子マニフェストの使用義務者が、やむを得ない事由を除き、紙マニフェストを交付した場合には、勧告や公表、命令を経て、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるため注意が必要です。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

廃掃法の抑えておくべきポイントをわかりやすく解説!法改正後に変化した点とは?

 

 

7.廃棄物の収集運搬・処理を委託する際は、業者選びに要注意

ご紹介したように、廃棄物処理法に違反した場合、罰せられるのは業者だけではありません。

収集運搬・処理を委託した排出事業者も罰則を科される場合もありますので、業者選びには注意が必要です。

 

特に、“格安価格で処理を承っている業者”には要注意。

他の業者と比べてあきらかに格安で処理を承っている業者の場合は、必要な免許や許可証を持っていなかったり不法投棄を行っていたりするケースが多いです。

いくら価格が安くても、後々違法行為が発覚し罰金を科され、無駄な出費が発生してしまう恐れがあります。

また、廃棄物処理法に違反すると企業イメージの低下に繋がってしまう可能性もあるので注意が必要です。

廃棄物の処理は適切な価格で対応してくれるところに依頼しましょう。

 

なお、リダクションテクノでは東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県など各地において産業廃棄物収集運搬業の許可を得ています。

廃棄物処理に関するご相談はもちろん、コスト削減やリサイクルに関するご提案も可能です。

廃棄物でお困りの際はお気軽にご相談くださいませ。

 

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