コラム

産業廃棄物 2021.03.17

不法投棄をした際の罰則内容・対象・時効。その他の注意すべき違法行為も解説!

環境安心第一緊急業者廃棄物

「産業廃棄物を不法投棄した際の罰則は?誰が対象になる?」 「不法投棄に時効はある?時効が過ぎれば罰せられない?」 そんな疑問を抱える方々へ、この記事では不法投棄の現状や発覚した際に科せられる罰則、時効、対象者などを解説! 併せて、業者選びの注意点や廃棄物処理法において違反となる主な行為を紹介します。

1.不法投棄とは?

不法投棄とは、山林や空き地など廃棄物処分場以外に廃棄物を捨てる行為(未遂も含む)のこと。

法律で禁止されており、違反した場合には懲役刑もしくは罰金刑、またはその両方が科されます。

処罰の対象となるのは、処理業者と処分を依頼した排出事業者です。

業者に勝手に不法投棄されてしまっても、処分を依頼した排出事業者も罰則の対象となることを覚えておきましょう。

 

2.後を絶たない不法投棄の現状

不法投棄は法律で禁じられている行為ですが、近年でも多く発生しています。

 

令和3年度に新たに判明した不法投棄の件数は107件。

不法投棄量は3.7万トン(環境省調査)と発表されました。

前年度の不法投棄件数は139件、不法投棄量は5.1万トンのため、数値だけみるとどちらも減少しています。

ですが、ゼロになったわけではありません。

また、不法投棄件数が1,000件を上回っていた平成10年代前半のピーク時と比べると、大幅に件数は減っています。

しかし、いまだに後を絶たない状況にあります。

 

参照:産業廃棄物の不法投棄等の状況(令和3年度)について(環境省)

 

 

3.時効はあるのか?

冒頭でも解説したように、不法投棄すると罰金刑や懲役刑が科されます。

不法投棄による刑事罰の時効は、最も重い場合で5年。

不法投棄から5年以上経過していれば、刑事罰を科せられることはありません。

 

しかし、時効が成立するのはあくまでも刑事罰のみです。

依頼した業者が不法投棄していた場合は、後々不法投棄の実行者に対して「措置命令」を出されることがあります。

 

 

4.巻き込まれた際の「措置命令」

「措置命令」とは行政処分の一種です。

廃棄物処理法の場合、措置命令では不法投棄を行った場所の原状回復もしくはそのために必要な費用を負担するよう命じられます。

 

不法投棄の原状回復には、一般的に多額の費用が必要となるもの。

例えば不法投棄して廃棄物の処理費用を浮かそうとしても、「措置命令が下されて最終的に出費が嵩んでしまった…」なんてことになる可能性もあります。

 

また、措置命令は刑事罰と違って時効がありません。

不法投棄から5年以上経過した場合でも、措置命令により多額の費用負担の可能性があると覚えておきましょう。

 

 

5.社名公表によるイメージダウンなどのリスクも!

罰則にまでは至らなくても、不法投棄された廃棄物から排出事業者が特定され社名等が公表されることがあります。

この場合、企業イメージの低下は免れず、業績不振に陥ってしまう恐れもあります。

 

実際に、過去には食品リサイクル業者が廃棄食品を横流ししていることが発覚し、大きな問題となりました。

この事件を受けて、食品リサイクル業者に廃棄物の回収・処分を依頼していたマルコメ株式会社や株式会社ニチレイフーズ、株式会社ローソンの社名が報道されることに。

実際に廃棄食品を横流ししたのは食品リサイクル業者ですが、依頼した事業者も排出者責任を問われました。

参照:環境省参考資料(P.11)

 

つまり企業が罰則を受けず発展するために、廃棄物の処理を依頼する業者選びには注意しなければなりません。

 

 

6.知らない間に不法投棄されないために。業者選びの注意点

冒頭でも解説したように、業者に委託した産業廃棄物が不法投棄されてしまうと排出事業者も罰則の対象となります。

「知らない内に不法投棄されていた…」なんてことにならないよう、処理業者選びは以下の注意点をチェックしながら慎重に行いましょう。

 

■価格や手軽さのみを基準に選ばない

他の業者よりも格安で処理を承っている業者や、「全て丸投げでお任せいただけます」などと謳っている業者は、必要な免許や許可証を持っていなかったり不法投棄を行っていたりするケースがあります。

そのため、業者を選ぶ際には“価格面”や“手軽さ”のみを基準とするのは避けた方がよいでしょう。

 

■マニフェスト・契約書・許可証などを確認

業者を選ぶ際には、まず上記項目を確認しましょう。

また、“安心して任せられるかどうか”をチェックするために、あらかじめ業者のホームページや行政の処理実績報告書を確認するなどの情報収集も大切です。

 

■定期的に業者の処理施設を訪問

廃棄物の処理の状況に関する確認は“努力義務”とされており、実施が義務付けられているわけではありません。

しかし、できれば定期的に現地確認を実施しておきましょう。

自社の産業廃棄物の処理委託先を訪問し、適正に処理が行われているかどうかをチェックしておけば、不法投棄を未然に防げます。

 

 

7.違反となる5つの行為

最後に、産業廃棄物の不法投棄を含む、廃棄物処理法において違反となる主な行為を5つご紹介します。

 

7-1.産業廃棄物の不法投棄

記事内で紹介したように、産業廃棄物の不法投棄は違法行為に該当します。

不法投棄を行った対象への罰則は、5年以下の懲役もしくは1,000万円の罰金、または併科。

なお、法人に対しては3億円以下の罰金が科されます。

たとえ自身で不法投棄をしていなくても、依頼した業者が産業廃棄物を不法投棄した際には排出事業者も罰せられるため業者選びには注意しましょう。

 

7-2.産廃マニフェストの不交付・虚偽等

マニフェスト(管理票)とは、産業廃棄物を収集運搬・処分する際に使う“産業廃棄物管理票”のこと。

産業廃棄物を収集運搬・処分する際には、法律に則って正しい内容でマニフェストを交付しなければなりません。

また、マニフェストは、交付した日または送付を受けた日から5年間保存するよう廃棄物処理法で定められているため保存期間にも気を付けましょう。

交付していない場合は違反となり業者と処理を依頼した排出事業者両方に罰則が科されます。

この場合の罰則は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金です。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

産業廃棄物を収集運搬・処分する際は“マニフェスト”が必要!マニフェストの書き方・運用方法を解説

 

7-3.契約書を作成・締結しないまま処分する

産業廃棄物を処分する際には、処理業者と書面にて委託契約を締結しなければなりません。

口約束や見積書の発行だけでは法律違反となるため注意が必要です。

もし契約書を作成・締結しないまま産業廃棄物を処分してしまった場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。

 

7-4.無許可業者に処理を依頼する

産業廃棄物の収集運搬・処分をおこなえるのは、許可を得ている業者のみ。

例えば汚泥の処分は汚泥の許可を持つ業者に、廃プラスチック類と金属くずの処分は廃プラスチック類と金属くず両方の許可を持つ業者に委託しなければなりません。

そのため、業者選びの際には、“許可を取得しているか”、“許可証の有効期限が切れていないか”の確認も大切です。

もし無許可の業者へ委託してしまった場合には、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。

 

7-5.特別管理産業廃棄物の管理責任者設置義務違反

特別管理廃棄物とは、爆発性・毒性・感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずる恐れのある性状を有する廃棄物のこと。

特別管理廃棄物は通常の産業廃棄物より厳しい規制と処理基準を設けられており、正しく管理するため、事業所ごとに「特別管理産業廃棄物責任者(特管責任者)」を設置する必要があります。

なお、特別管理産業廃棄物責任者になるためには、日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)の指定講習会を一日受講して試験に合格しなければなりません。

 

特別管理産業廃棄物責任者を設置しなかった場合には、法律違反となり30蔓延以下の罰金刑が科せられます。

 

8.不法投棄などのトラブルを防ぐためにも、処理業者選びは慎重に!

ご紹介したように、委託した業者が産業廃棄物を不法投棄した際には排出事業者も罰則の対象となります。

また、その他にもマニフェストの不交付などの違法行為を防ぐためには業者選びに注意しなければなりません。

「安いから」といった安易な理由だけでなく、適切に処理してくれるかを基準に業者を選びましょう。

 

リダクションテクノでは、産業廃棄物収集運搬業許可も特別管理産業廃棄物運搬業許可も両方得ているので安心してお任せいただけます。

コスト削減やリサイクルに関する提案も行っていますので、廃棄物に関するお悩みを抱えている方はぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

産業廃棄物における今後の課題。不法投棄・最終処分場の現況は?

私有地にゴミを不法投棄されたときの対処法・未然に防ぐための対策法

 

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