コラム
産業廃棄物 2020.10.29
感染性廃棄物の保管・処分方法。医療廃棄物からの見分け方や注意点も解説!
廃棄物回収価格適正化業者選定産業廃棄物廃棄物
医療関係機関等において医療行為等に伴い生じた医療廃棄物の中には、“感染性廃棄物”が含まれている場合があります。 “感染性廃棄物”は産業廃棄物の中でも、特別管理産業廃棄物に分類されるため取り扱いには注意が必要です。 今回この記事では、そんな取り扱いに気を付けなければならない“感染性廃棄物”について徹底解説! 医療廃棄物からの見分け方や保管・処分方法、注意すべき点などを詳しくご紹介します。
1.そもそも医療廃棄物とは?
まずは、医療廃棄物について解説します。
医療廃棄物とは、病院や診療所、介護老人保険施設、助産所、動物の診療施設・試験研究機関などをはじめとする医療関係機関等において医療行為等に伴い生じた廃棄物のことです。
大きく分けて医療廃棄物は以下の3つに分類されます。
■人に感染するもの(もしくは感染の恐れがあるもの) “感染性廃棄物”
■感染する恐れのない“非感染性廃棄物”
■感染する恐れのない“紙おむつ”
上記の中でも、特に“感染性廃棄物”については、人に感染する病原体が含まれているため気を付けて保管・処理しなくてはなりません。
“感染性廃棄物”と“非感染性廃棄物”ではそれぞれ保管方法も処理を依頼できる業者も異なるため、医療廃棄物は十分に注意した上で分別する必要があります。
ちなみに、平成16年3月以前は医師や歯科医師、獣医師の判断で感染性廃棄物と非感染性廃棄物が区分されていましたが、平成16年3月に国の策定する“廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル”が改訂。
客観的に、感染性廃棄物と非感染性廃棄物を区別することが可能となりました。
※参照:廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル(環境省)
2.医療廃棄物3種の特徴
前項にて解説した、医療廃棄物に含まれる“感染性廃棄物”と“非感染性廃棄物”、“紙おむつ”はそれぞれ定義や特徴が以下のように異なります。
■感染性廃棄物
“医療関係機関等から生じ、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物”と法律にて定義づけられています。
廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)では産業廃棄物の中の特別管理産業廃棄物と呼ばれる品目に属しており、保管方法や処理方法についても定められているため、取り扱いには注意が必要です。
【こちらの記事も合わせてご覧ください】
特別管理廃棄物とは?種類・該当する品目などについて詳しく解説
■非感染性廃棄物
感染する恐れがない医療廃棄物。
一般的に一般廃棄物もしくは産業廃棄物に分類され、自治体や各種許認可を有している業者が回収・処理を行います。
■紙おむつ
使用後の紙おむつも医療廃棄物の一つで、状態によって取り扱いが異なります。
具体的に挙げると“血液が付着したもの”や“指定感染症、新感染症、感染症法で一類、二類、三類の感染症、感染症法で四類及び五類の一部の患者が使用したもの”は感染性廃棄物として、それ以外のものは非感染性廃棄物として扱われます。
ちなみに、使用後の紙おむつは自治体によって受け入れ条件等が異なりますので、排出時には各自治体の条件を確認しましょう。
3.感染性廃棄物の判断フロー
続いて、感染性廃棄物の判断項目について解説します。
排出する医療廃棄物が感染性廃棄物かどうかは、以下のフローに沿って判断します。
3-1.① 形状
■血液等(血液・血清・血漿及び体液[精液を含む])
■病理廃棄物(臓器・組織・皮膚等)
■病原微生物に関連した試験・検査等に用いられたもの
■血液等が付着している鋭利なもの(破損したガラスくず等を含む)
上記に当てはまるものは「感染性廃棄物」。当てはまらない場合は②の判断項目に進む。
3-2.② 排出場所
■感染症病床、結核病床、手術室、緊急外来室、集中治療室および検査室において 治療・検査等に使用された後、排出されたもの
上記に当てはまるものは「感染性廃棄物」。当てはまらない場合は③の判断項目に進む。
3-3.③ 感染症の種類
■感染症法の一類、二類、三類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染 症及び新感染症の治療・検査等に使用された後、排出されたもの
■感染症法の四類および五類感染症の治療、検査等に使用された後、排出された医 療器材等(ただし、紙おむつについては特定の感染症に係るもの等に限る)
上記の項目にも全て当てはまらないものは、“非感染性廃棄物”として扱います。
※ただし、外見上血液と見分けがつかない輸血用血液製剤等、鋭利なもの、医師等が感染性の恐れがあると判断したものなども“感染性廃棄物”と同等に扱います。
4.感染性廃棄物を見分けた際に気を付けること
感染性廃棄物は他の廃棄物とは取り扱い方法が異なるため、感染性廃棄物を見分けた際には以下の3つのポイントに気を付ける必要があります。
・排出時点から分別しておくこと
・感染性廃棄物と、他の廃棄物を分けておくこと
・安全面に考慮すること
廃棄物経由で感染を広げないためにも、分別だけでなく取り扱いにも十分に注意しましょう。
5.排出事業者に求められる管理体制
医療関係機関など感染性廃棄物を取り扱う事業者は、以下のような管理体制を整えることが求められています。
感染性廃棄物は病原体を含んでいるため、管理にも細心の注意が必要です。施設内での感染事故を防ぎ、適正に処理するためにも次のポイントを遵守しましょう。
■特別管理産業廃棄物管理責任者※の設置
※医師や看護師など一定の要件を満たす者(施行規則第8条の17第1号)
※なお、都道府県によっては、設置する際に届出が必要なケースもあります。
■処理計画・管理規程の作成
感染性廃棄物の種類や発生量などを把握の上、適正な処理を行うための計画を定めることや、施設内における取り扱い方法などについて管理規程を作成することが求められています。
※前年度に年間50トン以上の特別管理産業廃棄物を排出している事業者は、都道府県知事に計画を報告する義務があります(法第12条の2第10項)。
■処理状況の帳簿記載・保存
感染性廃棄物は、処理に関する帳簿を記載し、保存しなければなりません。(法第12条の2第14項、法第7条第15項)
なお、マニフェストを活用して帳簿を作成することも可能です。
6.感染性廃棄物の保管方法のポイント
続いて、感染性廃棄物の保管方法のポイントについて解説します。
6-1.排出時点で直接容器へ分別
感染性廃棄物は別の廃棄物への汚染を防ぐために、排出の時点で容器に直接分別することが望ましいとされます。
なお、分別したあとに梱包するため、形状別に仕分けておくことも大切です。
例えば、“液状や泥状のもの(血液・血清など)”、“鋭利なもの(注射針・メスなど)”と分別しておくと良いでしょう。
6-2.容器にマークをつける
感染性廃棄物は全国共通の“バイオハザードマーク”がプリントされている容器に入れるか、入れた容器に“バイオハザードマーク”のステッカーを付けるなどして、廃棄物の種類を判別しやすいようにしましょう。
なお、性状に応じてマークの色を分けることが望ましいとされています。
例えば、液状や泥状のものは赤色、鋭利なものは黄色、固形状のものはオレンジ色とそれぞれ色を分けておくと移動する際などに便利です。
6-3.保管中は“取り扱い注意”の表示をする
感染性廃棄物を保管中は、保管場所に“取り扱い注意”の表示を行いましょう。
廃棄物処理法において、保管場所の看板の表示に含める事項とされているのは以下の通りです。
・特別管理産業廃棄物の保管の場所である旨
・保管する特別管理産業廃棄物の種類
・保管の場所の管理者の氏名又は名称及び連絡先
・屋外において特別管理産業廃棄物を、容器を用いずに保管する場合にあっては、規則第8条の13 第2号 ロに規定する高さのうち最高のもの
6.感染性廃棄物の処分方法
最後に、感染性廃棄物の処分方法について解説します。
感染性廃棄物の処分は“施設内(自社・医療機関)”で行うか、“専門業者に委託”するかのどちらかとなります。
それぞれ処分方法や注意点が異なるため、感染性廃棄物の処分を考えている方は以下の参考にしてみてください。
6-1.施設内(自社・医療機関)で処分する場合
自社や医療機関の施設内で感染性廃棄物を処分する場合には、以下の方法のいずれかで行います。
・焼却設備を使用して焼却
・溶融施設にて溶融
・乾熱滅菌装置もしくは高圧蒸気滅菌装置を使用して滅菌
・消毒
なお、施設内に廃棄物処理施設を設ける際、規模や排泄物の種類によっては都道府県知事から許可を得なくてはなりません。
6-2.専門業者に処分を委託する場合
自社や医療機関の敷地内に廃棄物処理施設を設けられない場合や、焼却炉の性能が十分でない場合には、専門業者に感染性廃棄物の処分を委託します。
感染性廃棄物の収集運搬・処分を委託できるのは、都道府県知事から感染性廃棄物の収集運搬・処分の業許可を得ている業者のみ。
許可の種類によっては委託できない感染性廃棄物もあるため、許可証の写しを確認することも重要なポイントです。
なお、排出事業者は“処分業者に廃棄物を委託したら終わり”というわけではありません。
排出事業者は業者に処分を委託した場合でも、処分されるまでの責任を負います。
そのため、適切に処分してくれる業者を選ぶようにしましょう。
【こちらの記事も合わせてご覧ください】
廃棄物に関する法律を徹底解説!産業廃棄物の捨て方・対象者・罰則・事例…etc
7.感染性廃棄物は取り扱いに要注意!業者選びは慎重に行いましょう
記事内でもご紹介したように、医療系廃棄物は種類によってそれぞれ保管方法や処理方法、委託できる業者などが異なります。
特に、感染性廃棄物は廃棄物の処理及び清掃に関する法律の中で特別管理廃棄物に指定されているため要注意。
感染性廃棄物の運搬・処分は、運搬は感染性廃棄物処理の収集運搬業の許可を持った業者に、処分は感染性廃棄物処理の処分業の許可を持った業者に委託する必要があります。
もし許可を得ていない業者に運搬・処理を委託してしまった場合は、依頼主である排出事業者が5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、あるいは両方を科されるので、業者選びには気を付けましょう。
ちなみに、リダクションテクノでは今回この記事でご紹介した医療系廃棄物の回収も承っています。
産業廃棄物収集運搬業許可証だけでなく、東京都と神奈川県の特別管理産業廃棄物収集運搬業許可証も取得しているので感染性廃棄物の運搬もお任せいただけます。
また、東京23区限定となりますが、少量でも回収が可能です。
医療廃棄物や感染性廃棄物に関してお困りの際は、ぜひ一度お問い合わせください!
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