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産業廃棄物 2021.02.25

専ら物は廃棄物?有価物との違いやマニフェスト・契約書の必要性を解説

廃棄物回収価格適正化業者選定廃棄物マニフェスト

専ら物は廃棄物の一種ですが、廃棄物処理法において特例措置が設けられているため取り扱いに悩まれる方も多くいます。 そこでこの記事では、専ら物の概要や該当品目などを詳しくご紹介! 有価物との違いはもちろん、マニフェストや契約書の必要性なども解説します。

1.専ら物とは?廃掃法の例外に該当する?!

みなさんは専ら物(もっぱらぶつ)とはどんなものを指す言葉なのかご存じですか?

 

正式名称は“専ら再生利用の目的となる産業廃棄物または一般廃棄物”で、再生利用の目的になる廃棄物を指します

廃棄物の収集運搬や処理に関わりのある方は、専ら物という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

専ら物の主な特徴は、廃棄物処理法の例外に該当することです。

通常、一般廃棄物や産業廃棄物を処理する場合には処理業の許可やマニフェストの発行が義務付けられていますが、廃掃法の例外として、処理業の許可やマニフェストの発行が不要とされています。

 

もちろん、“廃棄物処理法の例外=どんな扱いをしてもいい”というわけではありません。

処理業の許可やマニフェストの運用が不要というだけであって、専ら物は廃棄物の一種です。

処分方法が定められている他、受託契約書(受託業務終了報告書)を作成すべきであるという取り決めもあります。

 

 

2.専ら物に該当する4品目

前項にて専ら物とは再生利用の目的となる廃棄物と解説しましたが、具体的な品目も気になるところですよね。

 

実は専ら物に該当する品目は明確に定められているわけではありません。

ところが、廃棄物処理法施行当時の通知にて「産業廃棄物の処理業者であっても、もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物、すなわち、古紙、くず鉄(古銅等を含む。)、あきびん類、古繊維を専門に取り扱っている既存の回収業者等は許可の対象とならないものであること。」と記載されています。

そのため、専ら物に該当する品目と具体例は以下のように認識されています。

 

■古紙

…古新聞など紙くず

 

■金属くず・くず鉄

…アルミ缶、古銅など

 

■空きビン類

…ガラスくず(板ガラスなども含む)

 

■古繊維

…古着などの繊維くず

 

上記で挙げたように、専ら物に具体的に該当する廃棄物は私たちの生活になじみ深いものばかりです。

 

 

3.有価物との違い

専ら物を取り扱う上で、特に気を付けたいのが有価物との違いです。

専ら物と有価物は同一のものと捉えられがちですが、それぞれ定義が異なります。 

 

冒頭でも解説したように、専ら物とは再生を目的とする廃棄物です。

専ら物を引き取ってもらう際には、専ら再生利用(リサイクル)の目的となる廃棄物を扱う事業者によって、無償または処理費用を徴収して引き取られます。

廃掃法の例外に該当するため一部の規制が免除されますが、専ら物はあくまでも廃棄物の一種であり、規制が全て適用されないというわけではありません。

 

一方、有価物は有償で売却できる物を指します。

他人に有償で売却できるので、専ら物と違って廃棄物には該当せず、廃掃法の規制全般が適用されません。 

 

つまり、専ら物は処理業の許可やマニフェストの運用が不要などといった一部の規制免除以外は、通常の廃棄物と同じように扱う必要があると覚えておきましょう。

 

 

4.専ら物として扱う際の注意点

先述したように、専ら物は廃棄物の一種でありながら廃掃法における一部の規制が免除されていますが、有価物のように規制が全て適用されないというわけではありません。

 

専ら物として取り扱う際には、次の2点に気を付ける必要があります。

 

4-1.マテリアルリサイクルで処分する

前提として、専ら物はリサイクル手法の1つマテリアルリサイクルで処分しなければなりません。

マテリアルリサイクルとは、廃棄物を材料・原料として再利用するリサイクル手法です。

例えば、使用済みの缶を潰して再び固形化して原料に使用したり、使用済みのペットボトルを粉砕・加工処理して繊維化するなど様々な方法があります。

どの方法も資源循環に直接貢献できるとして、日本のみならず世界中の企業が積極的に取り組んでいる手法です。

 

ちなみに、熱回収を含む焼却処分や埋め立て処分を行う場合には、単なる廃棄物として扱われます。

その際は、収集運搬・処分の許可を取得している事業者に業務を委託しなければならないため注意しましょう。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

廃棄物を原料とする“マテリアルリサイクル”。具体例や現状、その他のリサイクル方法も解説

 

4-2.委託契約書を締結する

廃棄物の処理を業者に委託する際には、処理業者と書面にて適正な契約を結ばなければなりません。

専ら物を取り扱う際にマニフェストを交付する必要はありませんが、委託契約書の締結・保存は必要です。

 

また、委託契約書の種類や記載事項についても要注意です。

委託契約書には収集運搬委託書と処分委託契約書の2種類の書面があり、それぞれに委託する産業廃棄物の種類や数量、委託者が受託者に支払う料金などを記載します。

委託契約書の記載に不備があった場合、排出事業者に罰則が科されるので、記入漏れや記入ミスには注意しましょう。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

産業廃棄物の処理を業者に委託する際のポイント。産業廃棄物委託契約書作成時の注意点とは?

 

 

5.よく誤解される3つのポイント

最後に、よく誤解されがちな専ら物に関する3つのポイントを解説します。

 

Q1.専ら物は廃棄物ではない?

A.専ら物は廃棄物です。

先述したように、条件を満たせば一部の規制が免除されるだけで、規制が全て適用されないわけではありません。

 

Q2.対象の4品目なら、専ら物として扱われる?

A.専ら物として扱われるためには、品目と処理事業者が合致しなければなりません。

例えば、対象の4品目であっても、リサイクルではない方法(埋め立て処分など)で処理してしまった場合には、専ら再生利用を行っているリサイクル業者に委託していないことになります。

そうなると再生利用の目的となる廃棄物とはいえないため、専ら物の対象外となります。

 

Q3.専ら物はマニフェストや契約書は必要ない?

A.専ら物を処理する際にマニフェストを発行する必要はありません。

しかし、発行が免除されるのはマニフェストのみです。

必要な契約書を交わしていない場合には委託基準違反に該当し、罰せられる可能性もあるため注意が必要です。

また、マニフェストは不要ですが、産業廃棄物などと同様に、専ら物も排出事業者が適正に処理が完了したか責任をもって確認しなければなりません。

「マニフェストを発行する必要がないので、廃棄物を業者に引き渡したら終わり!」ではないので注意しましょう。

 

 

6.“専ら物=廃掃法の規制が全て適用されない”というわけではない!

専ら物は廃棄物処理法の例外に該当するため「対象の4品目であれば許可や契約なども不要!」と拡大解釈されがちですが、一部の規制が免除されるだけであって、廃掃法の規制が全て適用されないというわけではありません。

認識を誤ると気付かないうちに法律に違反してしまう恐れもあるので、取り扱いには十分注意しましょう!

 

なお、リダクションテクノでは廃棄物だけでなく、専ら物の取り扱いに関するご相談にも対応。

分別や契約書の締結など幅広いご相談に応じておりますので、お気軽にお問い合わせください!

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

“逆有償”とは?廃棄物処理法を違反した場合、罰金などが科されることも…!

段ボールは産業廃棄物?梱包材の処分方法や段ボールの分別、業者選びの注意点を解説

 

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