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産業廃棄物 2022.03.17

プラスチック資源循環促進法をわかりやすく徹底解説!有料化の対象業種・品目とは?

この記事では、2022年4月1日より施行された“プラスチック資源循環促進法”についてわかりやすく解説。 プラスチック資源循環促進法が施行された背景や、プラスチック製品を有料化するよう求められている対象業種・品目をご紹介します。 プラスチック製品を製造・販売している事業者や、スプーンやフォークなどプラスチック製品を提供している事業者は必見です!

1.2022年から施行された“プラスチック資源循環促進法”とは?

2022年4月1日より“プラスチック資源循環促進法”が施行されました。

これにより、プラスチック製のスプーンやフォークの有料化が進んでいます。

一方で「実はこの法律について詳しく知らない…」という事業者もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこでまずは、プラスチック資源循環促進法の概要を解説します。

 

1-1.基本原則は“3R”と“Renewable”

プラスチック資源循環促進法は、2022年4月1日から施行されたプラスチックの資源循環を目的とした法律のこと。

プラスチックを取り扱っている事業所や自治体に向けて、資源循環に関する取り組みを推進するための法律です。

 

同法律では、“3R”と“Renewable”がプラスチックの資源循環措置における基本原則として掲げられています。

 

3Rとは、Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の総称。

循環型社会をつくるための取り組みを指し、ごみを減らすこと(Reduce)、繰り返し使うこと(Reuse)、資源を再利用(Recycle)することが求められています。

 

続いて、Renewable(リニューアブル)とは再生可能という意味の言葉。

同法律においてはプラスチックを再生可能な資源に置き換えることが求められています。

 

1-2.具体的な目標

プラスチック資源循環促進法では、具体的に以下のような3RとRenewableの目標が掲げられています。

 

■Reduce(リデュース)

①2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制

 

■Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)

②2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに

③2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル

④2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により有効利用

 

■再生利用・バイオマスプラスチック

⑤2030年までに再生利用を倍増

⑥2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入

 

参照:「プラスチック資源循環戦略」について(環境省)

 

つまり、プラスチック資源循環促進法ではプラスチック製品の排出量を減らすだけでなく、“廃棄物を原材料としてリサイクル”することや、“廃棄を前提としないものづくり”が求められています。

 

2.法案が施行された背景

プラスチック資源循環促進法が施行された背景には、以下の2つの問題があります。

 

■プラスチックごみによる環境汚染

プラスチックごみは、リサイクルなどによる有効利用率が低い廃棄物。

加えて、これが海に漂い生態系や海洋環境に悪影響を及ぼす“海洋プラスチック問題”も年々深刻化しているため、発生抑制は世界的な課題となっています。

 

日本ではこれまでも廃棄物の適正処理や3Rに取り組んできました。

その一方で、1人当たりの容器包装(プラスチックごみ)の廃棄量が世界で2番目に多いため、今後はより積極的にプラスチックごみの抑制に努めなければなりません。

 

■廃プラスチック類の輸出規制

これまで中国では日本を含む世界中から廃棄物を資源として買い取っていましたが、環境問題を理由に2017年12月末に生活由来の廃プラスチック類などの輸入を禁止することに。

続けて、2018年12月末からは工業系廃プラスチック類も輸入禁止となりました。

 

その後、2018年からは日本で排出された廃プラスチック類は台湾や韓国、ベトナム、タイ、マレーシアなど中国以外の各国へ輸出されるようになりました。

しかし、2018年にはタイとベトナム、マレーシアでも輸入制限を強化。

2019年には、インドネシアでも廃プラスチック類の輸入禁止を厳格運用するよう表明されました。

 

このような背景があり、現在日本を含めた世界各国が廃プラスチック類の処理に頭を悩ませる事態に発展。

廃プラスチック類の排出量を減らすため、プラスチックの資源循環が求められるようになったのです。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

廃プラ輸入規制による影響とは。産業廃棄物の処分を委託する際は業者選びに要注意!

 

3.プラスチック資源循環促進法で定められている5つの基本方針

プラスチック資源循環促進法では、次の5つの基本方針が定められています。

 

①設計・製造の段階で取り組むべき環境配慮設計の指針を示す

プラスチック製品を製造している業者などが努めるべき環境配慮設計に関する指針を決めて、指針に適合した製品であることを認定する仕組みを設ける。

 

②使い捨てプラスチック製品の使用の合理化を目指す

プラスチック製のストローやスプーン・フォークなど、使い捨てプラスチック製品(ワンウェイプラスチック)を提供する小売・サービス業者等が取り組むべき判断基準を決める。

また、使い捨てプラスチック製品を多く提供する事業者への勧告や公表、命令を措置する。

 

③市区町村の分別収集・再商品化を推進する

プラスチック資源の分別収集を促進するべく、容器包装リサイクル法ルートを活用した再商品化を可能にする。

加えて、市区町村と再商品化の事業が連携して行う再商品化計画を作成。

計画を主務大臣が認定した場合、市区町村における選別・梱包などの中間作業を省略して、再商品化事業者が計画を実施することを可能とする。

 

④製造・販売事業者等による自主回収や再資源を可能とする

プラスチック製品の製造・販売業者などが、製品を自主回収・再資源化する計画を作成。

計画を主務大臣から認定された業者は、廃棄物処理法の業許可が不要となる。

 

⑤排出事業者の排出抑制・再資源化

排出事業者が取り組むべき排出抑制や再資源化などの判断基準を決める。

そのうえでプラスチックを多く排出する事業者への勧告や公表、命令を措置する。

また、排出事業者などが再資源化計画書を作成し、主務大臣に認定されれば、認定事業者は廃棄物処理法の業許可が不要となる。

 

4.事業者に求められる具体的な取り組み

上記のように、プラスチック資源循環促進法では製造・販売事業者や提供事業者に取り組みが求められています。

しかし「具体的にどんなことをすればいいの?」と疑問に感じた方もいるのではないでしょうか?

 

プラスチックを取り扱っている事業者に求められている具体的な取り組みは、主に以下の通りです。

 

4-1.プラスチック製品を製造する際の取り組み

■素材や設計を工夫する

■商品やサービスに合ったサイズのプラスチック製品を提供する

■リサイクル可能なプラスチック製品を積極的に導入する

 

例えば、プラスチック製品の代わりとして木製スプーンやストローが不要な構造を採用するなど、製造・販売事業者には現在製造しているプラスチック製品の見直しなどが求められています。

 

4-2.プラスチック製品を提供する際の取り組み

■プラスチック製のスプーンやフォークなどを有料化する

■提供時にプラスチック製品の必要有無を確認する

■ハンガーなどを繰り返し使用してもらえるよう呼び掛ける

 

あくまで本法律の目的はプラスチック製品の使用を規制することではなく、循環させることです。

ただ提供を禁止するのではなく、提供する際に声を掛けるなどの取り組みが求められています。

 

5.有料化しなければならない対象業種・品目一覧

前項にて、プラスチック製品の提供事業者は“プラスチック製のスプーンやフォークなどを有料化する必要がある”とご紹介しましたが、全ての業種・プラスチック製品が該当するわけではありません。

 

プラスチック資源循環促進法で排出抑制が義務付けられている業種と品目は以下の通りです。

 

 

対象業種 対象品目
小売業、飲食業、持ち帰り・配達飲食サービス業

(スーパー、コンビニ、飲食店、百貨店)etc

フォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー
宿泊業(ホテル、旅館、宿泊所)etc ヘアブラシ、櫛、歯ブラシ、剃刃、シャワー用のキャップ
洗濯業(クリーニング店)etc ハンガー、衣類用のカバー

 

上記に該当する業種は、プラスチック資源循環促進法によって定められた12品目を有料化しなければなりません。

 

6.企業としての環境に配慮した取り組みが注目される時代

記事内でもご紹介したように、プラスチック資源循環促進法は環境保全や排出量抑制といった世界的な廃棄物に関する課題を解決するため新たに施行された法律です。

 

現代はエコや地球環境保全活動への注目度が増し、循環型社会へ向けた環境への配慮も重視されている時代。

環境へ配慮した企業の取り組みも企業評価につながるため、近年ではプラスチックの代替品として“バイオマスプラスチック”を使用する企業も増えています。

 

バイオマスプラスチックとは、トウモロコシやサトウキビ等の植物において食べられない部分など、再生可能な有機資源を原料として作られるプラスチックのこと。

繰り返し栽培・収穫できる非枯渇資源を使用していることや、植物製のため製造過程や焼却処分される際に排出されるCO2が相殺されるというメリットがあります。

そのため、プラスチックの代替品として使用される機会が増えています。

 

「企業として環境へ配慮した活動をしたい!」と考えている方は、ぜひこれを機にバイオマスプラスチックの使用などなど、プラスチックの資源循環に関する取り組みを始めてみてはいかがでしょうか?

 

ちなみに、リダクションテクノでは廃棄物処理だけでなく、リサイクルや環境施策に関するご相談にも対応。

廃棄物処理と合わせてリサイクルを行うことで、環境に配慮しながらコスト削減できるようご提案しています。

その他にも廃棄物に関する様々なご相談にも承っていますので、廃棄物処理やリサイクルなどについてお悩みを抱えている方は、ぜひリダクションテクノまでお問い合わせください!

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

「プラスチック資源循環促進法」で排出抑制が求められる12品目とは?対象事業者は?

バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックについて解説

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