コラム
産業廃棄物 2022.05.31
バイオマスプラスチックの問題点とは?種類・特徴、生分解性プラスチックとの違いについて徹底解説
環境廃棄物回収業者選定再資源化産業廃棄物
この記事では、近年プラスチック代替品として注目されている“バイオマスプラスチック”や“生分解性プラスチック”について徹底解説! それぞれの特徴や抱えている問題点、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違いを詳しくご紹介します。 プラスチック製品を製造・使用している企業様や、バイオマスプラスチックや生分解性プラスチックの導入を検討している企業様は特に必見です!
1.近年注目されている“バイオマスプラスチック”と“生分解性プラスチック”
いまや私たちの生活に欠かせない存在である、プラスチック。
しかし、使い終えたプラスチックごみはリサイクルなどに回る有効利用率が低く、海洋プラスチック問題などを引き起こすとして、世界的にプラスチックの製造・使用が見直されています。
日本においては、プラスチックごみを削減するために、2020年7月1日からレジ袋の有料化が開始。
続く2022年4月1日からは、プラスチックの資源循環を目的とした“プラスチック資源循環促進法”が施行されました。
その中で、昨今プラスチックの代替品として注目されているのが“バイオマスプラスチック”と“生分解性プラスチック”。
詳しくは後述しますが、この2つのプラスチックに共通する特徴は環境に優しいことです。
再生可能な有機資源を原料としていたり、微生物の働きにより自然に還る仕組みがあったりと様々な特性を持っています。
2022年に施行されたプラスチック資源循環促進法においても、政府はバイオマスプラスチック導入ロードマップを策定しました。
“2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入する”という目標を掲げ、バイオマスプラスチックの普及に力を入れています。
参照:バイオマスプラスチック導入ロードマップ(環境省)
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2.バイオマスプラスチックの特徴・問題点
そんな注目度の高いバイオマスプラスチックですが、環境に優しいという特徴を持っている反面、解決しなければならない問題点もあります。
バイオマスプラスチックの主な特徴と抱えている問題点は次の通りです。
2-1.特徴
そもそもバイオマスプラスチックとは、植物などの再生可能な有機資源を原料として作られるプラスチックのこと。
トウモロコシやサトウキビといった植物の食べられない部分などを原料として作られるプラスチックです。
ひとくちにバイオマスプラスチックといっても大きく分けて2種類あります。
原料が100%バイオマスのものは“全面的バイオマス原料プラスチック”、原料の一部にバイオマスを使用しているものは“部分的バイオマスプラスチック”と呼ばれています。
そんなバイオマスプラスチックの主な魅力は次の通りです。
① 非枯渇資源を原料としている
② 植物を原料としているため、CO2排出量を抑えられる
従来のプラスチックは石油原料を主成分としていますが、石油原料は有限のため今後枯渇してしまう恐れがあります。
その点、バイオマスプラスチックの原料である植物は繰り返し栽培・収穫できるため、枯渇する恐れがありません。
また、植物は成長過程で光合成をおこない、CO2を吸収する特性を持っているのも注目ポイントの一つです。
植物が育っている間に、バイオマスプラスチックの製造過程で排出されるCO2や、焼却処分される際に排出されるCO2が相殺されるというメリットもあります。
2-2.問題点
ただし、バイオマスプラスチックには以下の問題点もあります。
① 石油由来のプラスチックと比べると価格が高いため、導入しにくい
② 地上での分解は想定されているが、海中では分解されにくい
③ 食料用の植物栽培が優先された場合、原料不足になる恐れがある
バイオマスプラスチックは近年普及率が上がっています。
一方で、従来の石油由来のプラスチックに比べると1.5~5倍の価格であったり、世界規模で食料不足が深刻化した際に原材料の確保が難しかったりと様々な課題を抱えています。
3.生分解性プラスチックの特徴・問題点
続いて、バイオマスプラスチックと同様にプラスチックの代替品として使用されている生分解性プラスチックの主な特徴と問題点をご紹介します。
3-1.特徴
生分解性プラスチックは微生物の働きなどにより二酸化炭素と水に分解され自然に還るプラスチックを指します。
生分解性プラスチックの主な特徴は次の通りです。
① 自然分解されるため、焼却処理する必要がない
② 環境負荷が少なく済む
生分解性プラスチックは、使用している最中は従来のプラスチックと同じ機能を持っていますが、使用後は一定の条件(温度や時間等)のもと分解されます。
もし意図せず海などに排出されても、自然に分解されるため海洋プラスチックごみの削減に貢献できるのが魅力です。
3-2.問題点
対して、生分解性プラスチックの問題点は次の通りです。
① 分解されるまでに時間がかかる
② 石油由来のプラスチックと比べると価格が高いため、導入しにくい
生分解性プラスチックは使用後すぐに分解されるというわけではなく、特性上、完全に分解されるまでに数ヵ月かかるケースもあります。
さらに、一定の条件下になければ分解が進まないという問題点もあります。
また、バイオマスプラスチックと同様に、従来のプラスチックよりも開発や生産の手間がかかるため、現状は導入コストがネックとなっています。
4.バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違い
最後に、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違いについて解説します。
まず、大前提としてバイオマスプラスチックと生分解性プラスチックは別物です。
冒頭でも解説したように、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックは従来のプラスチックの代替素材として使われています。
石油由来のプラスチックと比べると環境に優しいという共通の特徴がありますが、それぞれ原料や性質は異なります。
バイオマスプラスチックは植物などの再生可能な有機資源を原料として作られるのに対して、生分解性プラスチックは原料を問いません。
生分解性プラスチックは、一定の条件(温度や時間等)のもと分解されるのが大きな特徴。
自然分解されるという機能を持っているだけで、原料がバイオマス由来のものとは限りません。
中には、2つの特性を併せ持つ生分解性のバイオマスプラスチック(原料が再生可能な有機資源で、使用後は自然分解される)もありますが、“必ずしもバイオマスプラスチック=生分解性ではない”ということを覚えておきましょう。
5.リダクションテクノでは、環境に配慮した取り組みのご相談も可能!
ご紹介したように、バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックは従来のプラスチックの代替品として注目を集めています。
環境に優しいという特徴がある反面、導入コストや分解までに時間がかかるなど、まだまだ解決しなければならない課題もあります。
ですが、現代はエコな取り組みが企業評価に直結する時代。
環境に配慮した取り組みは企業のイメージにも大きく関わります。
そのため、再生可能な有機資源を原料としているバイオマスプラスチックや、微生物の働きなどにより自然に還る生分解性プラスチックは今後より注目されていくことでしょう。
「企業として環境へ配慮した活動をしたい!」と考えている方は、ぜひこれを機にバイオマスプラスチックや生分解性プラスチックの使用など、プラスチックの資源循環に関する取り組みを始めてみてはいかがでしょうか?
ちなみに、リダクションテクノでは廃棄物処理だけでなく、リサイクルやコスト削減に関するご相談にも対応!
今回ご紹介したバイオマスプラスチックと生分解性プラスチックについて詳しく知りたい方はもちろん、「廃棄物処理を見直したい」「処理コストを削減したい」「リサイクル活動に取り組みたい」というご相談にも応じています。
廃棄物処理と合わせてリサイクルすることで、環境に配慮しながらコスト削減できるようご提案することが可能です。
廃棄物処理やリサイクルに関してお悩みを抱えている方は、ぜひ一度リダクションテクノまでお問い合わせください!
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