コラム
産業廃棄物 2022.08.30
電子マニフェストとは?導入するメリット・紙マニフェストとの違いなどを解説
価格適正化業者選定産業廃棄物定期回収
1998年より運用が開始された、電子マニフェスト。 紙のマニフェストと同様に、産業廃棄物が適切に収集運搬・処分されたか確認するための書類ということに変わりはありませんが、電子マニフェストは排出事業者・収集運搬会社・処分業者間にて廃棄物に関する情報をスムーズにやり取りできるとして近年特に注目を集めています。 そこで今回この記事では、電子マニフェストの特徴や導入するメリット、運用フローなどを解説! 併せて、紙マニフェストとの違いや、電子マニフェストの使用が義務付けられている事業者もご紹介します。
1.電子マニフェストの特徴
そもそもマニフェストとは、産業廃棄物を収集運搬・処分する際に使う産業廃棄物管理票のこと。
産業廃棄物が適切に収集運搬・処分されたか確認するための書類で、排出事業者にはマニフェストの交付が法律で義務付けられています。
マニフェストの種類は“紙”と“電子”の2つ。
マニフェスト制度が導入された1990年は紙マニフェストのみ運用されていましたが、排出事業者・収集運搬業者・処分業者のマニフェスト業務効率化を進めるため1998年より電子マニフェストの運用が開始されました。
“紙”でも“電子”でもマニフェストに記載する内容は変わりませんが、近年ではネットワークで情報をスムーズにやり取りできるとして、電子マニフェストを利用する排出事業者も多いです。
しかし、電子マニフェストは紙のマニフェストと仕様が異なる点もいくつかあります。
電子マニフェストはその名の通り、マニフェスト情報を電子化して排出事業者・収集運搬業者・処分業者が情報処理センターを介したネットワーク上でやり取りする仕組みです。
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが運営している仕組みのため、利用するには排出事業者・収集運搬会社・処分業者の全てが電子マニフェストシステム(jwest)に加入しなければなりません。
排出事業者が電子マニフェストシステム(jwest)に登録していても、収集運搬会社と処分業者が登録していないと利用できないため注意しましょう。
また、年間登録件数に応じて支払う金額が複数の料金区分に分かれるのも特徴の1つ。
基本料や登録情報1件ごとの使用料は、3つの料金区分に分かれています。
※詳細は下記をご参照ください。
利用料金(公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター JWセンター)
2.電子マニフェストを導入する3つのメリット
電子マニフェストを導入すると、主に以下の3つのメリットが得られます。
【メリット①】事務処理の効率化に繋がる
電子マニフェストはインターネット上で管理されているシステム。
紙の書類に書き込むのと比べて、入力操作が簡単に行えるため手間がかかりません。
画面上で廃棄物の処理状況を確認しやすく、マニフェスト情報をデータとしてダウンロードできるため、事務処理の効率化や時短に繋がります。
日本廃棄物処理振興センターの発表によると、電子マニフェストを利用すると、紙マニフェストに比べて年間3,000時間の事務処理時間圧縮に繋がるとか!
また、嵩張る紙マニフェストと異なりネットワーク上に情報を保存できるため、書類を保管するためのスペースが必要ないことも嬉しいポイントです。
【メリット②】必須項目の入力漏れの心配がない
入力必須項が法令で定められていて、記載漏れや記入ミスをしてしまうと罰則が科される場合もあります。
一方、電子マニフェストはシステム上で必須項目を遵守しているため、入力漏れの心配はありません。
運搬終了・処分終了・最終処分終了報告の有無を電子メールや一覧表などで確認できるのに加えて、終了報告の確認期限が近づくと排出事業者に注意喚起してくれるのも魅力です。
【メリット③】セキュリティが万全
紙でも電子でも、マニフェストは交付してから5年間は保存しなければならないと法律で定められています。
紙のマニフェストの場合、保管するスペースの確保やセキュリティ体制が必要となりますが、電子マニフェストは情報処理センターが情報を管理・保存しているためセキュリティも万全です。
また、排出事業者・収集運搬会社・処分業者の3者がマニフェスト情報を常に閲覧・監視できる状態にあるため、マニフェスト情報の入力漏れや不備を防止できるのもメリットといえるでしょう。
3.電子マニフェストの運用フロー
続いて、電子マニフェストを交付する際の一連のフローをご紹介します。
① 電子マニフェストシステム(jwest)に登録する
※収集運搬会社と処分業者が登録しているかどうかも要確認
② 廃棄物を収集運搬業者・処分業者に引渡した日から3日以内にマニフェストを交付
③ 収集運搬や処分が終了した後、情報処理センターから電子メールなどで通知が届く
④ 完了
※マニフェストの保存など事務作業は不要
※情報処理センターが産業廃棄物管理票交付等状況を報告してくれるため報告は不要
4.紙マニフェストの違いとは?
電子マニフェストも紙マニフェストも記載する内容は同じです。
しかし、前項でご紹介した運用フローとは交付のタイミングや保存の必要性などが次のように異なります。
4-1.交付のタイミング
■紙マニフェスト
廃棄物を収集運搬業者または処分業者に引渡したタイミングでマニフェストを交付します。
■電子マニフェスト
廃棄物を収集運搬業者または処分業者に引渡した日から3日以内※(土日・祝日及び年末年始を含めない)にマニフェスト情報を情報処理センターに登録します。
※廃棄物を引渡した日は含みません。
4-2.運搬終了報告や活動終了報告の確認方法
■紙マニフェスト
運搬や処分などの各報告はA票(排出事業者の控え)と照合して確認します。
使用する票は以下の通りです。
【運搬終了報告】B2票とA票を照合して確認
【処分終了報告】D票とA票を照合して確認
【最終処分終了報告】E票とA票を照合して確認
■電子マニフェスト
ネットワーク上に全て情報が集約されているため、照合作業が必要ありません。
情報処理センターから、電子メールなどで運搬終了報告・処分終了報告・最終処分終了報告の通知が届きます。
4-3.マニフェストの保存期間
■紙マニフェスト
交付したマニフェストA票は、発行日から5年間保存しなければなりません。
なお、収集運搬業者および処分業者より送付された、B2票・D票・E票も5年間保存する必要があります。
■電子マニフェスト
電子マニフェストは手元で保存しなくてOK!
情報処理センターにてマニフェストが管理・保存されているため、過去5年分は常時確認することが可能です。
4-4.産業廃棄物管理票交付など状況報告の必要性
■紙マニフェスト
産業廃棄物を収集運搬・処分した際には、都道府県・政令市に自ら産業廃棄物管理票交付等状況を報告しなければなりません。
■電子マニフェスト
情報処理センターが都道府県・政令市に産業廃棄物管理票交付等状況を報告してくれるため、報告は不要です。
5.電子マニフェストの使用が義務付けられている事業者
原則としてマニフェストの種類は“紙”か“電子”のどちらかを選ぶことができますが、以下のような場合は電子マニフェストの使用が義務付けられています。
▶前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が年間50トン以上の事業場を設置している排出事業者で、当該事業場から生じる特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の処理を委託する場合
上記事業者が、電子マニフェストの使用を義務付けられるようになったのは2020年4月1日からです。
もし電子マニフェストの使用義務者が、やむを得ない事由を除き、紙マニフェストを交付した場合には、勧告や公表、命令を経て、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
特別管理産業廃棄物を排出している場合は、上記の条件に当てはまっていないか念のため確認してみましょう。
6.効率化や入力漏れ防止など様々なメリットがある電子マニフェスト
今回ご紹介したように、電子マニフェストは入力操作が簡単なだけでなく、入力漏れの心配がなかったり保存が必要なかったりといった様々なメリットがあります。
現在紙のマニフェストの発行や保存などにお悩みを抱えている方は、ぜひこれを機に電子マニフェストの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
ちなみに、リダクションテクノでは電子マニフェストの発行も可能です。
「電子マニフェストに切り替えたい!」という方はもちろん、「現在依頼している業者からもらったマニフェストが正しいかわからない…」「マニフェスト制度について詳しく知りたい」という方のご相談にも応じております。
その他にも、リダクションテクノではご要望に合わせて電子契約書の発行にも対応。
廃棄物の収集運搬・処分だけでなく、マニフェストや契約書に関するご相談にも応じています。
コスト削減やリサイクルに関する提案も行っていますので、廃棄物処理に関するお悩みを抱えている方はぜひリダクションへご相談ください!
【こちらの記事も合わせてご覧ください】
マニフェストが不要なケースとは?産業廃棄物を収集運搬・処分する際の注意点
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