コラム

産業廃棄物 2021.10.28

看板・囲いの設置…etc。産業廃棄物の保管基準や必要な措置、保管方法を解説

安心第一業者選定産業廃棄物廃棄物処理法

産業廃棄物を一時的に保管しておく場合には、囲いの設置や保管表示など守らなければならないルールがあります。そこでこの記事では、産業廃棄物を保管する際の基準について詳しく解説!具体的にどんな措置を講じる必要があるのかをご紹介します。

1.産業廃棄物の保管基準

事業活動に伴い排出された産業廃棄物は、家庭ごみや一般廃棄物と異なり取り扱いには注意が必要です。

産業廃棄物はわずかな量であっても人体や環境に悪影響を及ぼす恐れがあるため、法律に則った方法で保管・収集運搬・処分しなければなりません。

 

なお、産業廃棄物の保管については、廃棄物処理法にて次のように定められています。

 

<廃棄物処理法 第12条第2項>

事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「産業廃棄物保管基準」という。)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。

 

産業廃棄物を処理する過程において一時的に敷地内で保管する場合には、排出事業者責任として廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)によって定められている保管基準を守らなければなりません。

 

廃棄物処理法を守らないと罰則が科されるので、産業廃棄物を排出している事業者の方は気を付けましょう。

 

2.法律で定められている8つの必要な措置

事業活動に伴い排出された産業廃棄物を保管する際、廃棄物処理法で定められている必要な措置は以下の通りです。

 

参照:産廃知識 保管基準(公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター)

 

①保管場所の周囲に囲いを設ける

産業廃棄物の保管場所には、周囲に囲いを設けなければなりません。

設置する囲いに明確な定義はありませんが、保管する産業廃棄物の荷重が囲いに直接かかる場合は、その荷重に対して構造耐力上安全であることが求められます。

 

②保管場所には必要な事項を表示した掲示板を設置する

保管場所には、基準に従って保管に必要な事項を表示した掲示板を見やすいところに設ける必要があります。

掲示板に記載すべき必要事項は次の通りです。

 

・産業廃棄物の保管場所である旨

・保管する産業廃棄物の種類

・保管場所の管理者の氏名または名称及び連絡先

・保管できる高さの上限

(屋外で容器を用いらず産業廃棄物を保管している場合)

 

ちなみに、必要事項を記載する掲示板は、縦60cm以上×横60cm以上にしなければなりません。

文字の大きさに関する規定はありませんが、あまりに小さな文字で記載するのは避けた方が良いでしょう。

読みやすくわかりやすい表記にすることがポイントです。

 

③保管場所からの飛散・流出・地下浸透・悪臭発散を防止する

冒頭でもご紹介したように、産業廃棄物は一般廃棄物と異なり、わずかな量であっても人体や環境に悪影響を及ぼす恐れがあります。

そのため、産業廃棄物が保管場所から飛散・流出・地下浸透・悪臭発散が生じないように、あらかじめ適切な措置を講じなければなりません。

 

④汚水が生じる恐れがある場合は、公共水域・地下水の汚染を防止する

産業廃棄物の保管に伴い汚水が生じる恐れがある場合には、公共水域および地下水の汚染を防止する必要があります。

公共水域や地下水の汚染防止のため、排水溝や設備を整備したり、設備の底面を不浸透性の材料で覆ったり…etc。

トラブルを未然に防ぐための対策が求められます。

 

⑤害獣・害虫の発生対策

保管場所では、ねずみなどの害獣や、蚊・ハエといった害虫の生息・発生への対策が必要です。

常に保管場所を綺麗に清掃したり、定期的に駆除業者へ依頼したりといった措置を講じましょう。

 

⑥野外にて産業廃棄物を保管する場合の基準

容器に入れず野外に保管することも可能ですが、その場合は以下の基準を遵守しなければなりません。

 

【廃棄物が囲いに接しない場合】

囲いの下端から勾配50%以下

【廃棄物が囲いに接する場合】

囲いの内側2mは、囲いの高さより50cmの基準線以下とし、2m以上の内側は勾配50%以下とする

※勾配50%とは「底辺:高さ=2:1の傾きで約26.5度」を基準とする

 

⑦石綿含有産業廃棄物を保管する場合の措置

石綿含有産業廃棄物(アスベストを含む廃棄物)を保管する場合は、以下のような措置を講じなければなりません。

 

・保管場所に仕切りを設けるなど、その他の廃棄物と混合しないよう注意

・廃棄物が飛散しないように、梱包や覆いなどの措置

 

石綿(アスベスト)は有害性があり、現在は原則製造・使用等が禁止されている資材。

健康に影響を及ぼす可能性もあるため、廃棄する際には取り扱いに注意しましょう。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

石綿(アスベスト)含有産業廃棄物の概要や、保管・処理する際の注意点について解説!

 

⑧水銀使用製品産業廃棄物を保管する場合

石綿(アスベスト)と同様に、水銀も健康に影響を及ぼす可能性があるため、取り扱いには要注意!

保管場所では他の廃棄物と混合しないよう仕切りを設けるなど、必要な措置を講じなければなりません。

 

 

3.収集運搬や中間処理の際における保管基準

なお、収集運搬や中間処理の際における産業廃棄物の保管基準は次のように定められています。

 

■収集・運搬における積替保管の基準

・あらかじめ、積替えを行った後の運搬先が定められていること

・搬入された産業廃棄物の量が、積替え場所において適切に保管できる量を超えないこと

・搬入された産業廃棄物の性状に変化が生じないうちに搬出すること

 

ちなみに、収集・運搬における積替保管数量の上限は“1日当たりの平均搬出量×7”です。

上限以上の数量を保管することはできないため、注意しましょう。

(※船舶を用いて産業廃棄物を運搬する場合で、船舶の積載量が積替えの保管上限を上回るとき、もしくは使用済み自動車等を保管する場合を除く)

 

■中間処理における保管基準

中間処理における保管期間は、産業廃棄物の処理施設において適正な処分または再生を行うために、やむを得ないと認められる期間を超えて保管してはいけません。

 

なお、処分再生に係る保管数量の上限は以下の数式で算出します。

保管上限(基本数量)=1日の処理能力×14

※廃プラスチック類の処理施設において、優良産業廃棄物処分業者が廃プラスチックを処分又は再生のために保管する場合の保管上限は“1日の処理能力×28”

 

■保管基準の特例

ここまで収集運搬や中間処理の際における産業廃棄物の保管基準をご紹介してきましたが、以下のような場合においては保管基準の特例が適用されます。

 

・船舶による運搬

・処理施設の定期点検

・建設廃棄物の再生処理施設

・豪雪地帯指定区域(11月から翌年3月まで)の廃タイヤ

 

上記の特例については、以下のサイトをご確認ください。

参照: 産廃知識 保管基準(公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター)

 

 

4.特別管理産業廃棄物の保管基準

続いて、特別管理産業廃棄物の保管基準をご紹介します。

 

廃棄物処理法に定義されている“特別管理廃棄物”とは、爆発性・毒性・感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずる恐れのある性状を有する廃棄物のこと。

特別管理廃棄物は通常の産業廃棄物より、さらに厳しい規制と処理基準を設けられているので保管・処分する際には気を付けなければなりません。

 

特別管理産業廃棄物は、産業廃棄物の保管基準が適用される他、以下のような保管基準が設けられています。

 

・廃油、PCB汚染物またはPCB処理物は、容器に入れて密封するなど、揮発防止および高温にさらされないための措置を講じること

・PCB汚染物またはPCB処理物は、腐食防止のための措置を講じること

・廃石綿は、梱包するなど飛散防止のための措置を講じること …etc

 

その他にも、廃棄物の品目によって様々な保管基準が定められていますので、詳細は以下よりご確認ください。

参照: 産廃知識 保管基準(公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター)

 

 

5.産業廃棄物の保管方法

最後に、産業廃棄物の主な保管方法についてご紹介します。

 

産業廃棄物を保管する際には、主に次の3つの容器を利用することが多いです。

容器は種類によって保管しやすい形状も、使用上の注意点も様々。

それぞれ特徴が異なりますので、使用する際には以下のポイントに注意しましょう。

 

5-1.フレキシブルコンテナバッグ

フレキシブルコンテナバッグとは、布や樹脂製フィルムなどの柔軟性のある材料で作られた袋状の容器。

フレコンバッグと略称で呼ばれることも多いです。

これは布や樹脂製フィルムで作られている素材の特性上、水分を含む廃棄物や尖った廃棄物の保管には要注意。

水分を含む廃棄物は染み出てしまい、尖った廃棄物は突き破ってしまうなどの可能性があります。

 

5-2.ドラム缶

ドラム缶は、金属で作られた樽型の大きな容器。

主に汚泥など水分を多く含む産業廃棄物を保管する際に用いられることが多いです。

ただし、低沸点の液体やガスが発生しやすい液体を扱う際は膨張・爆発する可能性があるため注意が必要です。

低沸点の液体やガスが発生しやすい液体を保管する場合は、周囲の温度環境に配慮しなくてはなりません。

 

5-3.コンテナ

コンテナとは、底の部分が四角形になっている容器のこと。

様々な種類がありますが、廃棄物の保管には鉄製の着脱式コンテナ(バッカン)が使われることが多いです。

鉄製の着脱式コンテナ(バッカン)は反復使用できる構造かつ強度があり、他のコンテナと積み重ねられるよう装具が付いているため、貨物を運ぶときによく使用されています。

 

ただし、コンテナは蓋が設けられておらず天井部分がありません。

そのため、飛散・流失・悪臭・浸透・雨水侵入などの防止に向けて防水シートで天井部分を覆うなど対策しましょう。

 

6.リダクションテクノでは、産業廃棄物の保管や分別に関するご相談にも対応!

産業廃棄物は人体や環境に悪影響を及ぼす恐れがあるため、本記事で解説したように一時的な保管でも取り扱いに注意が必要です。

廃棄物処理法に則り、保管基準を遵守して正しく保管しましょう。

 

看板の設置など少し手間がかかると思われるかもしれませんが、正しい方法で産業廃棄物を保管すれば、品目ごとに分別しやすくなるといったメリットもあります。

分別業務をスムーズにこなせるようになり衛生面の向上にも繋がるため、ぜひこれを機に産業廃棄物の保管方法を見直してみてはいかがでしょうか?

 

ちなみに、リダクションテクノでは産業廃棄物に関するお悩み相談にも対応。

ただ廃棄物を処理するだけでなく、廃棄物処理と合わせてリサイクルすることで、環境に配慮しながらコスト削減できるようご提案しています。

仕分けの代行や現場教育などといった支援も行っていますので、廃棄物に関するお悩みを抱えている方はぜひ一度リダクションテクノまでお問い合わせください!

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

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