コラム

産業廃棄物 2021.09.08

廃油処理について徹底解説!処理費用の相場・再資源化事例・注意が必要な廃油…etc.

環境廃棄物回収安心第一業者選定産業廃棄物

エンジンオイル、サラダ油、石油、ガソリン、灯油…etc. 飲食店や工場で排出された廃油は産業廃棄物として処分しなければならないと法律で定められていますが、ひとくちに廃油といっても種類は様々。 中には、特別管理産業廃棄物に該当するものや、有害物質のPCBを含んでいるものもあるため、取り扱いに注意しなければなりません。 そこでこの記事では、廃油の種類や処理方法などを徹底解説! 再資源化の事例や、特に注意が必要な廃油なども併せて説明します。

1.廃油とはどんな廃棄物?

飲食店や食品工場、製造工場など、事業活動によって生じた使用済みの油は“廃油”と呼ばれ、産業廃棄物に該当します。

 

1-1.産業廃棄物とは?

産業廃棄物とは、事業活動に伴って発生した廃棄物の内、廃棄物処理法で定められた20品目に該当する廃棄物のこと。

このうち“あらゆる事業活動に伴うもの(12品目)”は業種を問わず産業廃棄物となり、“排出する業種が限定されるもの(7品目)”は該当する業種から排出した場合のみ産業廃棄物として扱われます。

 

今回ご紹介する廃油は、“あらゆる事業活動に伴うもの(12品目)”に該当する廃棄物。

そのため、廃油を排出する際には、業種に関わらず全ての事業者が産業廃棄物として法律で定められた正しい方法に則り扱わなければなりません。

 

1-2.産業廃棄物を収集運搬・処分できる業者

産業廃棄物を収集運搬・処分できるのは“産業廃棄物収集運搬業許可証”や“産業廃棄物処分業許可証”を得ている業者のみ。

もし許可を得ていない業者に委託してしまった場合は、依頼主である排出事業者が5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、あるいは両方を科されるので、業者選びには気を付けましょう。

 

1-3.廃油の保管・運搬に関するルール

なお、廃油は引火性を持っている場合もあるため、廃掃法や消防法で保管・運搬に関するルールが定められています。

産業廃棄物の場合、処理責任を問われるのは排出事業者。

法律に違反しないよう、廃油を産業廃棄物として排出する際には注意が必要です。

 

 

2.産業廃棄物として排出されることの多い廃油

主に、産業廃棄物として排出されることの多い廃油の種類は以下の通りです。

 

■鉱物性油

石油を原料としている油。

“鉱油”もしくは“鉱物油”と呼ばれることも多いです。

エンジンオイルから美容クリームの原料まで、幅広い商品に使用されています。

【例】潤滑剤、エンジンオイル、重油、クリーム・ローションの原料…etc

 

■動物性油

動物から抽出された油。

飽和脂肪酸が含まれていて、ほとんどが常温で固まります。

自然発火しやすいため細心の注意を払わなければなりません。

【例】牛脂、豚油、魚油、鯨油…etc.

 

■植物性油

植物から抽出された油。

抗酸化作用が強いビタミンEが豊富に含まれています。

動物性油と同様に自然発火しやすいため、取り扱いには注意が必要です。

【例】サラダ油、ごま油、てんぷら油、大豆油、なたね油…etc.

 

■廃溶剤

使用済みの溶剤。

主に石油や油脂工業の生産工程において排出されます。

有機溶剤は引火性が高いため、取り扱いには注意が必要です。

【例】アルコール類、洗浄油、石油…etc.

 

■固形油

固形の油。

“硬化油”と呼ばれることも多いです。

アスファルトや石鹸の原料として利用される他、マーガリンやショートニングなど食品の原料としても使われています。

【例】アスファルト・クレヨン・固形石鹸・マーガリンの原料など

 

■揮発油類

揮発油(きはつゆ)類は、原油を分別蒸留する際に低沸点で得られる油。

一般的には、ガソリンや工業で使われる溶剤の総称として使われています。

【例】ガソリン、灯油、軽油、ベンジン…etc.

 

一括りに廃油といっても種類は様々。

また、上記で挙げた種類の他にも、洗浄油やタールピッチなども産業廃棄物として排出されることが多いです。

 

 

3.主な処理方法。再生利用量・減量化量・最終処分量の比率

廃油は主に、再生利用・減量化・最終処分のいずれかの方法で処理されます。

 

しかし、現状最終処分の割合は極めて少なく、廃油の大半が再生利用か減量化されています。

環境省が令和4年に発表した報告書によると、令和2年度に排出された廃油は45%が再生利用され、54%が減量化、1%が最終処分されました。

参照:令和3年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書(環境省)

 

3-1.再生利用

廃油は、がれき類や金属くずなど他の品目と比べるとリサイクル率の低い産業廃棄物に分類されますが、年間総排出量の4割近くがリサイクルされています。

リサイクル方法は廃油の種類によって異なりますが、主に廃油再生処理工場で油水分離や遠心分離を行い、再生重油として製品化したり、バイオディーゼル油や石鹸の原料として利用したりといった方法で再生利用されることが多いです。

 

3-2.減量化

廃油はリサイクル率が低い反面、減量化率が高いという特徴もあります。

令和2年度における廃油の年間排出量は3,249千トン。

環境省の発表によるとそのうち54%を減量化しています。

 

3-3.最終処分

再生利用できない廃油は、減量化→焼却処分→埋め立ての順番で最終処分されます。

使用する焼却炉は廃油の発熱性によって様々。

発熱量が大きい廃油の焼却には固定床炉やロータリーキルンが、発熱量が少ない廃油は流動床炉が主に使用されます。

焼却処分が終わったら、廃棄物処理法の処理基準に則り埋め立て処分されます。

 

 

4.処理費用の目安

続いて、廃油の処理費用の目安について解説します。

 

廃油は種類・量・依頼する業者・処理する場所によって処理費用が異なりますが、一般的な廃油の場合は【約5円~100円/kg】で請け負っていることが多いです。

 

ただし、特殊な廃油(廃塗料・グリスなど)や、特別管理産業廃棄物の廃油(ガソリン・灯油など)は処理費用が高額になるケースがあります。

例えば、特別管理産業廃棄物の引火性廃油は【約20円~/kg】で、特定有害物質を含む廃油は【約50円~/kg】程度の処理費用がかかる可能性も高いです。

 

業者に廃油の処理を依頼する際は、あらかじめ廃油の量や種類などを伝えて見積をとるようにしましょう。

 

 

5.廃油の再資源化事例

廃油は状態や種類によっては、再資源化することが可能です。

ただし、ひとくちに再資源化といっても方法は様々。

代表的な事例は以下の通りです。

 

5-1.再生潤滑油

長期間にわたって使用された廃油は品質が劣化していることが多いです。

品質が劣化した廃油は劣化生成物や混入遺物を分離除去して、廃油再生事業者によって再生潤滑油へと再資源化されます。

再生潤滑油は主に、工業用潤滑油として使用される他、暖房燃料や公衆浴場の燃料などとして使われるケースもあります。

 

ただし、全ての廃油が再生潤滑油にできるわけではありません。

動植物性油や一部の工業用潤滑油は再生潤滑油に向いていますが、絶縁油や自動車エンジン油といった鉱物性油は再生潤滑油に向いていない廃油に分類されます。

 

5-2.再生重油

エンジンオイル系の廃油などリサイクルに適しているものは、再生重油として製品化されます。

反対に、塩素系および水系潤滑油や金属加工油、ワックスなどは再生重油の製品化に適していません。

 

再生重油は硫黄分が少ないため、硫黄酸化物が低減化できるのが魅力。

また、廃油を原料としているため安価で手に入るのも特徴的です。

 

再生重油を製品化するためには、まず廃油再生処理工場にて油水分離や攪拌(水分蒸発)などを実施。

その後、冷却してから遠心分離機にて水分やエンジンの燃えカスであるスラッジを除去して、再資源化されます。

 

5-3.補助燃料化

再生重油にすることが難しい廃油は、石炭代替燃料の原料として活用されます。

主に、廃動植物油や溶剤系の廃油、ペースト状の可燃物などが補助燃料化されることが多いです。

 

また、近年ではこれまでは廃棄するしかなかったタールスラッジを、先進技術によってタール系助燃油として再生燃料化させた事例もあります。

石油と同等のカロリーを持つタール系助燃油は重油の代替燃料として活用。

これまで処理が困難だった廃油を有効活用できるようになったとして注目されています。

 

参照:タールスラッジ再生燃料化技術(宝石油機工株式会社)

 

5-4.石鹸の原料

廃油は液状の油として再活用できるだけでなく、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加えれば石鹸の原料となる脂肪酸のナトリウム塩を生成できます。

 

廃油石鹸は油を原料としているため、頑固な油汚れを落としやすいのが魅力。

キッチンはもちろん、トイレや風呂などを掃除する際に活躍します。

また、廃油石鹸は合成洗剤を含んでいないので、肌や環境に優しいのも特徴的です。

排水は水中に生息している微生物によって自然に分解されるため、“エコ石鹸”とも呼ばれています。

 

5-5.ろうそくの原料

廃油は廃油凝固剤(12-ヒドロキシステアリン酸など)を混ぜれば、ろうそくの原料にもなります。

廃油凝固剤を混ぜると温度が下がり、再び粒子が結合するとゲル化する仕組みです。

油が原料になっているため火をつければ再融解しますし、冷やすと固まります。

 

不要となった廃油をリサイクルすることから、石鹸と同様に“エコキャンドル”と呼ばれています。

また、簡単に作成できることから、最近では一般家庭にて調理の際に使用した廃油を使って“エコキャンドル”を作る方も多いそうです。

 

 

6.特に注意しなければならない廃油

冒頭にて廃油は引火性を持っている場合もあると解説しましたが、中には燃えやすい性質のものや、有毒性のある物質を含んでいるものもあるため取り扱いには気を付けなければなりません。

廃油の中でも特に取り扱いに注意が必要なものは、以下の3つです。

 

▶引火点が70℃未満で燃えやすい油

灯油類や軽油類といった引火点が70℃未満で燃えやすい油は、“特別管理産業廃棄物”に分類されます。

特別管理産業廃棄物とは、爆発性・毒性・感染性その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずる恐れのある性状を有する廃棄物のこと。

通常の産業廃棄物よりさらに厳しい規制が設けられており、事業者自らが特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、資格を持つ業者に収集運搬・処分を委託しなければならないと定められています。

参照:特別管理廃棄物規制の概要(環境省)

 

 

▶古い絶縁油

古い絶縁油には、食中毒や発がん性など健康に悪影響を及ぼす可能性のある“PCB“が含まれている場合があります。

PCBとは、Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、ポリ塩化ビフェニル化合物の総称。

食中毒や発がんなど健康に悪影響を及ぼすことや生活環境に係る被害が生じる恐れがあると判明したため、昭和47年以降PCBの製造・新たな使用は禁止されています。

ですが、いまだにPCBを素材に使用している製品は処理しきれていません。

そのため、古い絶縁油の取り扱いには注意しましょう。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

【PCB廃棄物を保管している方へ】有毒性・PCB廃棄物特別措置法などについて解説

 

 

▶特定の有機塩素化合物を含む廃油

特定の有機塩素化合物を含む廃油は引火性廃油と同様に、特別管理産業廃棄物に分類されます。

先述したように、特別管理産業廃棄物は人の健康や生活環境に被害を生じさせる恐れがあるため、取り扱いには注意しなければなりません。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

特別管理廃棄物とは?種類・該当する品目などについて詳しく解説

 

 

7.廃油や産業廃棄物に関するご相談は、リダクションテクノまで!

産業廃棄物の1つである廃油は引火性を持っている場合があるため、取り扱いには要注意。

廃掃法や消防法で保管・運搬に関するルールが定められており、万が一間違った方法で保管・運搬すると環境面へ影響を及ぼす可能性があります。

また、廃油の中には燃えやすく特別管理産業廃棄物に該当するものや、健康に悪影響を及ぼすPCBを含んでいるものなどもあるため、保管・運搬する際には細心の注意を払いましょう。

 

ちなみに、リダクションテクノでは産業廃棄物の収集運搬・処理はもちろん、廃油の保管や取り扱いに関するご相談にも対応可能です。

廃棄物の回収が難しいといわれるケースの多い都市部現場や、夜間・土日作業、スポット回収、小ロット回収などにも柔軟に対応しています。

対応エリアは、一都三県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)。

回収前には必ず現地調査・ヒアリングを行い、事前にお見積りを提示していますので安心してお任せいただけます。

 

その他にも、リダクションテクノではリサイクルやコスト削減に関する幅広いご相談に応じています。

産業廃棄物や廃油の処理についてお悩みを抱えている方は、ぜひ一度リダクションテクノまでお問い合わせください!

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

また先延ばし?飲食店の生ゴミ(廃棄物)回収・処理のコストを最適化するための方法とは

廃油は産業廃棄物?処分する際の注意点・業者選びの際に気を付けたいポイントを解説!

 

 

 

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