コラム

2021.06.03

“RPF”とはどんな燃料?主な特徴やRDFとの違い、注目されるようになった背景もご紹介

廃プラスチック類や古紙などの産業廃棄物を原料にした固形燃料“RPF”。 RPFは品質が安定していて熱量が高いといった特性を持っていることから、石炭やコークス、化石燃料の代替品として近年多くの産業で注目されています。 この記事では、そんな優れた特性を持つ注目の固形燃料・RPFの魅力にクローズアップ! RPFの特徴やRDFとの違い、併せてRPFが注目されるようになった背景まで詳しく解説します。 RPFはもちろん、産業廃棄物を活用したリサイクルに興味があるという方は必見です!

1.RPFとは?どんな用途で使われている?

RPFとは、廃プラスチック類や古紙などマテリアルリサイクルが困難な産業廃棄物を原料にした固形燃料。

「Refuse Paper and Plastic Fuel」の略で、化石燃料に代わる新たなエネルギーとして注目を集めています。

 

RPFは、現在一般社団法人日本RPF工業会の会長を務めている関勝四郎氏考案のもと、1992年に開発。

以降、主に石炭やコークス、化石燃料の代替品として世の中に普及しました。

鉄鉱会社や大手製紙会社、石灰会社など多くの産業で工業生産用の化石代替燃料として使用されるようになり、2010年1月には工業製品としてJIS規格化されています。

 

2.RPFの主な特徴

RPFには、主に次の特徴があります。

 

2-1.品質が安定している

RPFの原料として使用されているのは、発生履歴が明確な産業廃棄物や、分別された一般廃棄物(分別基準適合物相当)。

そのため品質が安定していて使いやすく、一年を通して価格が変わりにくい固形燃料として知られています。

 

2-2.熱量が高く、化石燃料の代替品になる

RPFは廃プラスチック類などを原料として使用しているため、熱量が高いことが特徴的です。

石炭およびコークス並みの高い熱量で、化石燃料の代替品としても使用できます。

 

2-3.熱量をコントロールできる

古紙と廃プラスチック類の配合比率を変更すれば、熱量は簡単にコントロールできます。

ボイラーのスペックなど、必要な熱量に応じて柔軟にコントロールできるのもRPFならではの魅力といえるでしょう。

  

2-4.貯蔵特性・輸送効率に優れている

固形で密度が高いという特性を持っているため、コークスや粉炭と同じくらい利便性が高いです。

貯蔵特性・輸送効率に優れているので、広い地域へ安定して供給できます。

 

2-5.環境にやさしい

廃プラスチック類や古紙をリサイクルして製造されるRPFは、環境への影響が少ないのも大きな特徴です。

総合エネルギー効率の向上と化石燃料削減に繋がり、CO2削減といった地球温暖化防止にも役立つ固形燃料としても評価されています。

 

2-6.ボイラーなど燃焼炉における排ガス対策が容易

RPFは品質が安定しており、不純物が混入することが少ないため、塩素ガスの発生による“ボイラーの腐食”や“ダイオキシンの発生”がほぼ起きません。

また、硫黄ガスが発生することも少ないため、燃焼炉の排ガス処理をしやすいという特徴もあります。

 

2-7.他燃料に比べてコストパフォーマンスが高い

RPFの価格は、石炭の1/4~1/3程度。

灰化率も石炭の1/3以下なので、灰処理費の削減にも繋がります。

今後負担する可能性のある排出権購入の費用削減にも繋がるため、RPFは他の燃料と比べてコストパフォーマンスに優れている燃料といえるでしょう。

 

3.RDFとの違いとは?

廃棄物から製造される固形燃料はRPFだけではありません。

RPFと似た名前で「RDF」という固形燃料もあります。

 

RDFは、家庭の生ごみなどを含む一般廃棄物を固形化した燃料で、RPFとは別物です。

原材料の収集方法も、発生する熱量も、RPFとRDFではそれぞれ以下のように異なります。

 

  RPF RDF
原材料 廃プラスチック類・古紙などの産業廃棄物 家庭ごみなど分別されていない一般廃棄物(生ごみや不燃物も含む)
原材料の収集方法 民間企業が分別したものを引き取る 不特定多数の排出による混合ごみとして、自治体により収集
熱量 6,000~10,000kcal/kg

※混合比によりコントロールが可能

3,000~4,000 kcal/kg
含水量 少ない 分別されないため、高い場合もある
利用価値

※RPFよりは低い

 

上記のような違いから、近年ではRDFよりも高品位なRPFを固形燃料として使用するケースが多いです。

 

4.エネルギー自給率の低さが原因?RPF燃料が注目されている理由

冒頭でRPFは1992年に開発されてから多くの産業で使用されているとご紹介しましたが、近年さらに注目度が上昇。

RPFがより注目されるようになった理由は、主に日本のエネルギー自給率を上げるためです。

 

実は、世界的にみて日本はエネルギー自給率が低い国に該当します。

2019年度の日本のエネルギー自給率は、なんとわずか12.1%!

2017年度のエネルギー自給率は9.4%、2018年度のエネルギー自給率は11.7%と少しずつ数値は上がっていますが、経済協力開発機構(OECD)に加盟している他国と比べると低い水準となっています。

 

過去に2度の石油ショックを経験したこともあり、年々燃料の多様化は進んでいますが、世界的に見るとエネルギー自給率が高いとはいえません。

島国である日本はエネルギー資源(石油・石炭・天然ガス)に乏しく、化石燃料は輸入に頼っています。

特に、2011年3月に起きた東日本大震災以降、化石燃料への依存度はさらに上昇。

2019年度は化石燃料の依存度が84.8%となりました。

参照:日本のエネルギー(自然エネルギー庁)

 

とはいえ、このまま他国からの輸入に依存していては一向にエネルギー自給率は上がりません。

加えて国内のお金が海外へと流れてしまうため、経済的にも大きな損失が発生してしまいます。

 

そんな厳しい状況を打破するために、石炭に代わる燃料としてRPFが注目されるようになりました。

 

5.2017年から始まった中国の廃プラ輸入規制も一因に!

エネルギー自給率を上げるためだけでなく、2017年から始まった中国における廃プラスチック類の輸入規制もRPFが注目されるようになった要因の一つです。

 

これまで中国では、日本を含む世界中から廃棄物を資源として買い取っていましたが、環境問題を理由に2017年12月末に生活由来の廃プラスチック類などの輸入を禁止することに。

続けて、2018年12月末からは工業系廃プラスチック類も輸入禁止となりました。

 

その後、2018年からは日本の廃プラスチック類は台湾や韓国、ベトナム、タイ、マレーシアなど中国以外の各国へ輸出されるように。

しかし、2018年にはタイとベトナム、マレーシアにて輸入制限を強化。

さらに2019年には、インドネシアでも廃プラスチック類の輸入禁止を厳格運用するよう表明されました。

 

上記のような背景があり、日本を含めた世界各国が廃プラスチック類の処理先に困るようになってしまったのです。

 

今までは輸出することで有価物として処理できていたものを廃棄物として処分しなくてはならなくなった日本。

しかし、廃棄物処理にはコストがかかり、年々最終処分場の利用状況も逼迫しています。

このようなことから、廃棄物処理量を減らすためにRPFがさらに注目を集めるようになりました。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

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最終処分場の“残余年数”をご存じですか?日本における最終処分場の現状・問題解決のためにできること

 

6.RPF燃料や廃棄物処理に関するお悩みはリダクションテクノへ!

記事内でもご紹介したように、品質が安定しているRPFは石炭に代わる廃棄物を原料にした固形燃料です。

既に多くの産業で使用され、環境にもやさしいという特性もあります。

そのため世界的に環境意識が高まっている現代のニーズに合った燃料として、今後さらなる普及が予想されます。

 

さらに、リダクションテクノでも回収した廃プラスチックをRPF燃料として再利用するご提案が可能です。

産業廃棄物をただ処分するだけでなく、環境に配慮しながらコスト削減ができるように様々なご相談に応じています。

 

「産業廃棄物の処分に関して悩みを抱えている…」

「業者に廃棄物回収を依頼しているが、処理コストを今よりも抑えたい」

「企業としてリサイクルに取り組みたいけど、何から始めればいいかわからない」

「産業廃棄物を原料としたRPF燃料への再利用について詳しく知りたい!」

「事業活動に伴い発生した廃プラスチック類の処分に困っている…」

 

上記のような廃棄物処理に関してお悩みを抱えている方は、ぜひ一度リダクションテクノまでお問い合わせください!

 

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