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産業廃棄物 2021.12.16

廃棄物を原料化する“マテリアルリサイクル”。具体例や現状、その他のリサイクル方法も解説

リサイクル環境産業廃棄物マテリアルリサイクルSDGs

リサイクルには様々な手法がありますが、近年では廃棄物を材料や原料にして再利用する“マテリアルリサイクル”が注目されています。 そこでこの記事では、マテリアルリサイクルの概要や具体例について徹底解説! ケミカルリサイクルとサーマルリサイクルとの違いや、国内外のリサイクル認識も併せてご紹介します。

1.マテリアルリサイクルの概要・具体例

世界的に環境問題の早期解決が求められるいま、“リサイクル”という言葉は私たちにとって身近な存在となりました。

ひとくちにリサイクルといっても、手法は様々。

マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルの3種類があります。

その中でも、私たちの生活に一番身近な手法はマテリアルリサイクルではないでしょうか。

 

まずは、マテリアルリサイクルの概要と具体例をご紹介します。

 

1-1.概要

そもそも“マテリアル”とは、材料・原料という意味を持つ言葉。

“マテリアルリサイクル”は言葉の通り、廃棄物を材料・原料として再利用するリサイクル手法を指します。

 

1-2.具体例

マテリアルリサイクルで材料・原料として使用する廃棄物の種類は様々です。

例えば、マテリアルリサイクルでは以下のような廃棄物を再利用しています。

 

▶使用済みの缶

缶を潰して溶かし、再び固形化。新たな缶を作るときの原料として利用。

 

▶使用済みのペットボトル

ペットボトルを粉砕・加工処理して繊維化。繊維を衣類の原材料として利用。

 

いずれも資源循環に直接貢献できるとして、日本のみならず世界中の様々な企業が積極的に取り組んでいます。

 

 

2.ケミカルリサイクルと、サーマルリサイクルとの違い

前項にて少し触れたように、リサイクルの手法はマテリアルリサイクルの他に以下のような方法があります。

 

■ケミカルリサイクル

廃棄物に化学的な処理を施し、他の物質へ変えてリサイクルする手法。

“化学的再生法”と呼ばれるケースもあります。

マテリアルリサイクルと同様に、ケミカルリサイクルで使用する廃棄物も様々です。

石油から作られた廃プラスチックのガス化・油化・コークス炉化学燃料化、畜産糞尿のバイオガス化、廃食用油の石鹸化・飼料化・ディーゼル燃料化など多種多様な方法があります。

 

■サーマルリサイクル

サーマルとは、“熱による”という意味。

サーマルリサイクルは、廃棄物を焼却処分するときに発生した熱エネルギーを回収・利用するリサイクル手法です。

回収した熱エネルギーは、主に発電や暖房設備・温浴施設などの熱源として使用されています。

 

3.リサイクルの優先順位

環境保全のためには、リサイクルの優先順位を遵守することも大切です。

2000年に施行された循環型社会形成推進基本法では、廃棄物処理やリサイクルの優先順位を次のように示しています。

 

リデュース(無駄なごみを出さず、発生量を抑制する)

リユース(使い捨てず、何度も繰り返し再使用する)

リサイクル(ごみを資源として再利用する)

焼却処理による熱回収

適正処分

 

例えば、焼却時に発生した熱エネルギーを有効活用するサーマルリサイクルは発電を行えますが、リサイクルできるものまで燃やしてしまうのは上記の原則論に反します。

そのため、循環型社会を形成するためにまずはできるだけごみを減らし、再利用しなければなりません。

 

 

4.海外とは違う?!国によって異なるリサイクル認識

世界規模で地球環境が問題視されているいま、各国でリサイクルが積極的に行われています。

ですが、実は日本と海外ではサーマルリサイクルに対する考え方が異なります。

 

先述した3つのリサイクル方法の内、日本で一番多く行われているのはサーマルリサイクルです。

これは日本では廃棄物の状態・種類を問わず熱エネルギーを回収できる合理的なリサイクル手法と捉えられていますが、欧米の認識は全く別物。

廃棄物を原材料として再利用できず二酸化炭素が大量に排出されることから、有効的なリサイクル手法としては見なされていません。

 

二酸化炭素の大量排出は、地球温暖化の一因にもなります。

そのため、今後は日本もサーマルリサイクルに頼るのではなく、資源循環できるマテリアルリサイクルがより注目されていくと予想されています。

 

 

5.世界的に行われているマテリアルリサイクルの事例3選

最後に、国内外で実際に行われているマテリアルリサイクルの事例を3つご紹介します。

 

5-1.【事例①】使用済みのペットボトル → Tシャツの原料

冒頭でもご紹介したように、使用済みのペットボトルに粉砕・加工処理を施して繊維化するリサイクル手法は、国内外にて様々なアパレル企業が取り組んでいます。

 

特に有名な企業の例を挙げると、アメリカのリゾート施設「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」や東京ディズニーリゾート®を運営する「株式会社オリエンタルランド」。

同社が運営する施設内で回収した使用済みペットボトルを繊維に再生し、洋服などの原料に活用しています。

その他にも、使用済みの紙コップをトイレットペーパーにリサイクルするなど様々な活動を行っています。

参照: 廃棄物を減らすために(株式会社オリエンタルランド)

 

また、世界中に店舗展開する日本のアパレル企業「UNIQLO」では、ペットボトルのリサイクル素材を使用した商品を展開。

Tシャツやフリースジャケット、ポロシャツなど幅広い種類の商品を手掛けています。

参照:リサイクル素材から生まれた服(UNIQLO)

 

5-2.【事例②】マザーボードから回収した廃棄金属 → ジュエリー

アメリカのコンピュータテクノロジー企業「Dell」では、2018年にアメリカの女優ニッキー・リード氏が経営するジュエリー会社と提携して、廃棄金属をリサイクルしたジュエリーコレクションを展開。

コンピュータのマザーボードから回収した金を、イヤリングやカフスリングなどジュエリー原料に再生しています。

参照:デル、ニッキー・リード氏と連携し、E-wasteの金をリサイクルしたジュエリーコレクションに活用(Dell Technologies)

 

同社の他にも、最近は携帯電話やパソコンなど廃棄金属を“リサイクルメタル”として再利用する企業が増えています。

 

5-3.【事例③】がれきや廃木材 → コンクリート

近年では、がれきや廃木材を再利用してコンクリートを作る技術も開発されました。

コンクリートがれきと廃木材を粉砕・混合した後、加熱・圧縮成形して作る“リサイクルコンクリート”は、生産時に二酸化炭素が発生するセメントも必要ありません。

資源循環できるだけでなく温室効果ガスの排出抑制効果も期待できるとして、建築業界から注目されています。

参照:がれきから土木/建築材料へ、植物がコンクリートを蘇らせる ~セメント不要、副産物なしの循環利用を実現~(東京大学生産技術研究所)

 

 

6.マテリアルリサイクルは、世界的に注目されているリサイクル手法

記事内でもご紹介したように、マテリアルリサイクルは循環型社会の実現へ向けて最適なリサイクル手法です。

ケミカルリサイクルやサーマルリサイクルなどリサイクル手法には様々な種類がありますが、その中でも廃棄物を材料・原料として再利用する手法は海外でも特に注目を集めています。

現在日本ではサーマルリサイクルが主流となっていますが、地球温暖化や環境保全への対策が急務とされる今後は日本でもより注目されていくことでしょう。

 

近年は業績だけでなく、環境問題に対する取り組みも企業評価に繋がる時代。

積極的にリサイクル活動を行えば、消費者や取引先からの企業イメージも変化します。

ぜひこれを機に、廃棄物の処理方法を見直すとともに、リサイクル活動の推進を検討してみてはいかがでしょうか?

 

ちなみに、リダクションテクノでは、廃棄物処理だけでなくリサイクルに関するご相談にも応じています。

廃棄物処理だけでなく、リサイクルやコスト削減に関するご提案も可能です。

 

「今一度、棄物処理について見直したい…」

「企業としてエコな取り組みを始めたい!」

「廃棄物の処理にかかるコストを少しでも削減したい」

「ごみの排出量を減らしたいけど、どうしたらいいかわからない」

「自社に適したリサイクル手法を知りたい!」

 

上記のようなお悩みを抱えている方は、ぜひリダクションテクノまでお問い合わせください!

 

 

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