コラム

産業廃棄物 2021.03.29

「廃棄物処理法違反は業者の責任だから、排出事業者には責任がない」という認識は間違いです!

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廃棄物を取り扱っている担当者様の中には「廃棄物処理法違反は業者の責任だから、排出事業者には責任がない」という誤った認識をされている方もいらっしゃるのでは?結論からいうと、業者が廃棄物処理法違反を犯した場合、排出事業者にも責任が問われます。例え不法投棄やマニフェスト作成に直接携わっていなくても、委託した業者が違反すると排出事業者も罰則を受けるので注意が必要です。この記事では、廃棄物処理法における排出事業者の責任や、罰則などについてご紹介します!

1.排出事業者責任の徹底について

日本では廃棄物の処理について法律が設けられており、違反した場合には罰金刑や懲役刑を科されることがあります。

罰則の対象となるのは廃棄物を取り扱う運搬業者や処分業者だけではありません。

廃棄物処理法では以下のように定められています。

 

<廃棄物処理法 第3条第1項>

事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。

 

<廃棄物処理法 第11条第1項>

事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。

 

つまり、廃棄物を排出した事業者も責任を問われ、直接違反行為をしていなくても罰則が科されます。

 

2.罰則を受けるケース①【不法投棄】

罰則を受ける主なケースの一つは、廃棄物の“不法投棄”。不法投棄を行った業者と、処理を依頼した排出事業者は責任を問われることになります。

罰則は以下の通りです。

 

<罰則>

5年以下の懲役もしくは1,000万円の罰金、またはその両方を科される。

(廃棄物処理法第16条、第25条 第1項第14号、第32条第1項第1号)

 

排出事業者は直接不法投棄を行っていなくても、処理を依頼した業者が不法投棄してしまうと罰則が科されます。

そのため、「価格が安いから」などといった理由だけで業者を選ぶのは要注意。他の業者と比べてあきらかに格安で廃棄物処理を承っている業者は、不法投棄を行っているケースが多いです。

 

3.罰則を受けるケース②【マニフェストの虚偽記載】

続いてご紹介するのは“マニフェストの虚偽記載”について。

 

マニフェスト(管理票)とは産業廃棄物を運搬する際に使う産業廃棄物管理票のことで、産業廃棄物を処理する際にはマニフェストの交付が必要となります。

基本的にマニフェストを発行するべきなのは処理を依頼した「排出事業者」ですが、廃棄物処理やマニフェストに関する知識が無い場合は対応が難しいため、委託先の運搬業者が用意するケースが多いです。

 

しかし、委託先の運搬業者がマニフェストを用意するのはあくまで代行業務。万が一マニフェストの交付や記載事項が虚偽の内容だった場合、責任を問われるのは処理を依頼した排出事業者になります。

罰則は以下の通りです。

 

<罰則>

1年以下の懲役もしくは100万円の罰金を科される。

(廃棄物処理法第27条2第3項)

 

安易な業者選定により悪質な業者へ任せてしまうと、マニフェストに虚偽の内容を記載され排出事業者が罰を受ける可能性があります。業者選びには注意しましょう。

 

4.罰則を受けるケース【その他】

その他、下記のようなケースにも注意が必要です。

 

■契約書の自動更新

法律は、状況に応じて内容が変更となることがあるので要注意。法改正により契約書の法廷記載事項が変わることもあるので、気付かないうちに法律違反になってしまう可能性もあります。

過去に締結した契約書を自動更新している場合は、一度記載事項に漏れがないか確認することが必要です。

 

■両罰規定

“両罰規定”とは、違反行為の罰則を法人だけでなく、行為者本人に対しても同様に罰則をかけること。「廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第32条」にて定められており、過去には法人とその会社に勤務している責任者個人にそれぞれ罰金100万円が科せられた事例もあります。

そのため、法人として気を付けることはもちろん、社員教育の徹底も大切です。

 

■処理困難通知

処理業者に行政処分が下されたなど産業廃棄物の受け入れができなくなった場合、業者は排出事業者に「処理困難通知」を出します。

「処理困難通知」を受け取った際には、排出事業者は処理状況を確認の上、必要に応じて廃棄物の撤去などの措置を講じなければなりません。

 

また、“契約を解除の上、他の業者に委託しなおす”、“委託していた業者からマニフェストが返送されていない場合、通知を受けた日から30日以内に措置内容等報告書を都道府県知事に提出する”などといった対応が必要となる場合もあります。

 

※必要となる対応は自治体によって異なる場合があるので、詳細は管轄の自治体にお問い合わせください。

 

5.リスク回避のためには、“慎重な業者選び”も“定期的な訪問”も大切◎

上記で解説したように、安易に格安の業者を選定したり、委託後に任せっきりだと知らぬ間に廃棄物処理法を違反している場合があります。

そのため、業者選びの際に気を付けるのはもちろん、定期的に処理業者へ訪問し適正処理が行われているのかチェックすることも必要です。

 

法律上は排出事業者にも責任があるため、廃棄物の運搬・処分は「業者に依頼したら終わり」というわけではありません。

他人事にせず、適切に対応してくれる業者に依頼しましょう。

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