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産業廃棄物 2021.03.17

“廃棄物”と“有価物”の違い。判断基準・有価物を処理する際の注意点とは?

廃棄物回収価格適正化業者選定廃棄物マニフェスト

“有価物”とは、有償で売却できる物。普段排出している産業廃棄物の中には有価物が混合している場合があり、分別を徹底すれば処理費用のコスト削減に繋がるケースもあります。 そこでこの記事では、廃棄物と有価物の違いについて徹底解説!それぞれの判断基準や、有価物を処理する際の注意点をご紹介します。

1.廃棄物と有価物の定義

そもそも“廃棄物”と“有価物”とは、それぞれどのようなものを指すのか知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

それぞれの定義は以下の通りです。

 

1-1.廃棄物の定義

占有者が自らが利用した後の不要物、またはそれらを他人に有償で売却することができない物。

例えば以下が対象となります。

  • 無償で引き取ってもらえないごみ
  • 粗大ごみ
  • 燃え殻
  • 廃油
  • 汚泥
  • ふん尿
  • 廃酸
  • 廃アルカリ
  • 動物の死体

など

なお、廃棄物の形状は品目によって様々で、固形状の場合もあれば、液状の場合もあります。

 

また昭和52年3月26日に交付された“廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正について”の定義は、廃棄物に該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではないこととされています。

 

参照:廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正について(環境省)

 

1-2.有価物の定義

有償で売却できる物。

その名の通り価値の有る物で、自分で使用できる、もしくは他人に有償で売却できる物を指します。

 

例えば、使い古した家電や古着など自分にとっては不要な物でも、リサイクルショップや古着屋などに有償で売却できる場合や修理に出せば使い続けられる場合があることから、“有価物”に分類されます。

 

つまり簡単に説明すると、“価値がなくなったものは廃棄物”、壊れたり汚れているものの価値が残っているもの“は有価物”に分類されます。

 

 

2.判断基準

続いて、廃棄物と有価物の判断基準について解説します。

 

これまで廃棄物は“客観的に見て不要物として把握することができるもの”が判断基準とされてきました。

しかし、昭和52年3月26日に交付された「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正について」によって、以下※のような考えが提示され、判断が難しいものとして認識されるようになりました。

※占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであつて、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではない

 

つまり廃棄物か有価物かを判断する際には、見た目だけではなく「性状」や「排出状況」なども加味しなくてはなりません。

現在では、以下の5つの判断基準が設定されています。

 

▼判断基準

①物の性状

利用用途に合った品質か、また飛散・流失・悪臭などの生活環境の保全上の支障が発生する恐れがないものであること。

具体的には、生活環境の保全に係る関連基準を満たしているかやJIS規格等の一般に認められている客観的な基準に適合しているかどうかなどが基準。

 

②排出の状況

計画的に排出されていること。

また、排出前や排出時に適切な保管・品質管理がなされているかも判断ポイントになる。

 

③通常の取扱い形態

製品として市場が成立しており、通常廃棄物として処理されていないこと。

 

④取引価値の有無

所有者(占有者)から、受け取る相手方に有償譲渡されていること。

また、処理料金に相当する金品の授受がないことや有償譲渡の実績があること、譲渡する際の価格が競合製品や運送費などの諸経費を考慮しても合理的であることも判断要素の一つ。

 

⑤占有者の意思

所有者(占有者)の意思で適切に利用されているか、または他人に有償で引き渡す意思があること。

ちなみに、所有者(占有者)の意思は当事者の認識だけでなく、客観的要素や社会通念上の合理性から判断。

 

上記の5つの判断基準を加味した上で、総合的に廃棄物か有価物か判断されます。

参照:廃棄物の定義について(環境省)

 

 

3.なぜ、廃棄物と有価物の違いが重要なのか?

続いて、廃棄物と有価物を分ける必要性について解説します。

 

3-1.廃棄物と有価物は取り扱いの許可が異なる

そもそもなぜ廃棄物と有価物の違いをなぜ明確にするかというと、これらの取り扱いには必要となる「許可証」種類が異なるためです。

 

廃棄物と有価物では、収集運搬を依頼できる業者が異なります。

例えば産業廃棄物は「産業廃棄物収集運搬業許可」を得ている業者しか依頼できないのに対し、有価物は「一般廃棄物収集運搬業許可」を得ている業者にも依頼できます。

 

一般廃棄物収集運搬業許可しか持たない業者が産業廃棄物を回収するのは違反行為です。

場合によっては依頼した排出事業者も罰則を受けることもあり、依頼した後に「無許可業者だとは知らなかった…」では済みません。

 

3-2.有価物を排出する際、マニフェストは不要

産業廃棄物を取り扱う際には排出事業者や廃棄物の流れを明確にする書類「マニフェスト」を発行するよう義務付けていますが、有価物の場合は必要ありません。

ただし産業廃棄物と有価物を一緒に排出する場合に限り必要となりますが、有価物を取り扱う際にマニフェストのような書類の作成・提出は不要です。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

産業廃棄物を収集運搬・処分する際は“マニフェスト”が必要!マニフェストの書き方・運用方法を解説

 

3-3.有価物を正しく扱うためのポイント

有価物は産業廃棄物と同時に発生することも多いため、取り扱いには注意が必要です。

有価物を排出する際には、以下のポイントに注意しましょう。

 

・産業廃棄物と有価物の分別を徹底。誰が見ても分かるような状態にしておく

・別料金の選別作業が発生しないよう、有価物が他の廃棄物と混合しないように注意する

・産業廃棄物と有価物が一緒に排出されるときは、収集運搬や処理を依頼する事業者の許可状況をあらかじめ確認する

・排出する側が処理側に支払う代金が上回る「逆有償」が起こらないよう気を付ける

・金属製の箱に覆われた状態の機械には要注意。分別が必要な場合もある

※廃液や金属以外の廃棄物が入っていると産業廃棄物とみなされ、別途処分費用が発生する

 

 

4.思わぬものが有価物の場合も?!

ここまで廃棄物と有価物の違いについて解説してきましたが、中には思わぬものが有価物である可能性もあります。

 

例えば、店舗移転・業態変更などをする際、店内にある家具や備品の中には有価物として買い取ってもらえるものがあるかもしれません。

廃棄物の処理業者の中には、廃棄物と思っていたものが有価物だった場合に有償で引き取るケースもあります。

 

退去費用のコストを削減するためにも、買い取り対象となる不用品がないか業者へ問い合わせてみましょう。

 

なお、分別を間違えてしまうと罰則を受ける場合もあります。

産業廃棄物の処理責任は排出事業者にあり、産業廃棄物の収集運搬・処理を行うためには管轄する都道府県・政令都市の許可が必要です。

もし分別を間違えて都道府県・政令都市の許可無く収集運搬や処理を行った際には、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方が課される恐れがあります。

 

例えば、産業廃棄物を有価物と思い込んで収集運搬してしまった際に、収集運搬業の許可を有してない場合は廃棄物処理法違反とみなされることも…!

分別の判断がつかないときには、必ず管轄する自治体に確認するようにしましょう。

 

5.リダクションテクノでは、有価物の買い取りや分別に関するご相談にも対応

このように、実はこれまで廃棄物と思っていたものが見直してみると有価物として買い取りができ、廃棄物処理に係るコストが削減できることがあります。

反対に、有価物と思っていたものが廃棄物であり、処理費用がかかってしまう場合もあるので要注意が必要です。

つまり業者選びの際には、“適切に分別してくれるか”や“ケースに沿ってコスト削減の提案をしてくれるか”なども大切なポイントとなります。

 

廃棄物の処理を業者に依頼する場合は、安易に格安の業者を選定せず、適正な買い取り提案や混合廃棄物処理などをしてくれる業者に頼みましょう。

 

ちなみに、リダクションテクノでは廃棄物の回収だけでなく、有償買い取りや中古家具・厨房備品のリユースのご提案も実施。

廃棄物回収や買い取り業務だけでなく、解体工事業者とも連携しているので一括でお任せいただくことも可能です。

 

産業廃棄物の処分にお悩みでしたら、ぜひリダクションテクノへご相談ください。

 

 

 

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