コラム
産業廃棄物 2022.06.09
プラスチック資源循環促進法とは?対象業種・品目や基本方針、広域認定制度との違いについて
リサイクル環境再資源化産業廃棄物
2022年4月1日から施行されたプラスチック資源循環促進法により、対象の業種にはプラスチック製品の排出を抑制するよう義務付けられました。 しかし、中には「どんな業種や品目が削減対象なのかわからない…」「そもそもどんな法律なのか知らない…」という方もいらっしゃるのでは? そこでこの記事では、プラスチック資源循環促進法についてクローズアップ! 同法案の概要はもちろん、削減対象の業種・品目や基本方針、広域認定制度との違いについても詳しく解説します!
1.“プラスチック資源循環促進法”とは?
まずは、プラスチック資源循環促進法の概要と施行された背景を解説します。
1-1.概要
プラスチック資源循環促進法は、2022年4月1日から施行されたプラスチックの資源循環を目的とした法律のこと。
プラスチックを取り扱っている事業所や自治体に向けて、資源循環に関する取り組みを推進するための法律です。
同法律では、“3R”と“Renewable”をプラスチックの資源循環措置における基本原則として掲げています。
3Rとは、Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の総称。
循環型社会をつくるための取り組みを指し、ごみを減らすこと(Reduce)、繰り返し使うこと(Reuse)、資源を再利用(Recycle)することが求められています。
続いて、Renewable(リニューアブル)とは再生可能という意味の言葉。
つまり、同法律においてはプラスチックを再生可能な資源に置き換えることも求められているのです。
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4つめの「R」とは?3R+Renewableの具体的な取り組みをご紹介
1-2. 施行された背景
プラスチック資源循環促進法が施行された背景には、以下の2つの問題があります。
■プラスチックごみによる環境汚染
プラスチックごみは、リサイクルなどによる有効利用率が低い廃棄物のこと。
加えて、プラスチックごみが海に漂い生態系や海洋環境に悪影響を及ぼす“海洋プラスチック問題”も年々深刻化しているため、プラスチックごみの抑制が世界的な課題となっています。
日本ではこれまでも廃棄物の適正処理や3Rに取り組んできましたが、その一方で1人当たりの容器包装(プラスチックごみ)の廃棄量が世界で2番目に多いため、今後はより積極的にプラスチックごみの抑制に努めなければなりません。
■廃プラスチック類の輸出規制
これまで中国では日本を含む世界中から廃棄物を資源として買い取っていましたが、環境問題を理由に2017年12月末に生活由来の廃プラスチック類などの輸入を禁止することに。
続いて、2018年12月末からは工業系廃プラスチック類も輸入禁止となりました。
その後、2018年からは日本で排出された廃プラスチック類は台湾や韓国、ベトナム、タイ、マレーシアなど中国以外の各国へ輸出されるようになりましたが、2018年にはタイとベトナム、マレーシアにて輸入制限を強化。
2019年には、インドネシアでも廃プラスチック類の輸入禁止を厳格運用するよう表明されました。
このような背景があり、現在日本を含めた世界各国が廃プラスチック類の処理に頭を悩ませる事態に発展。
廃プラスチック類の排出量を減らすため、プラスチックの資源循環が求められるようになったのです。
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2.削減対象となる業種と製品
プラスチック資源循環促進法ではプラスチック製品を削減することが様々な業者に求められていますが、対象となるのは全ての業種・プラスチック製品ではありません。
プラスチック資源循環促進法で排出を抑制するよう義務付けられている対象業種と品目は以下の通りです。
対象業種 | 対象品目 |
小売業、飲食業、持ち帰り・配達飲食サービス業
(スーパー、コンビニ、飲食店、百貨店)etc. |
フォーク、スプーン、ナイフ、マドラー、ストロー |
宿泊業(ホテル、旅館、宿泊所)etc. | ヘアブラシ、櫛、歯ブラシ、剃刃、シャワー用のキャップ |
洗濯業(クリーニング店)etc. | ハンガー、衣類用のカバー |
上記に該当する業種は、プラスチック資源循環促進法によって定められた12品目を有料化しなければなりません。
3.“プラスチック資源循環促進法”の基本方針・措置事項
プラスチック資源循環促進法では、以下のような5つの基本方針と措置事項が定められています。
①設計・製造の段階で取り組むべき環境配慮設計の指針を示す
プラスチック製品を製造している業者などが努めるべき環境配慮設計に関する指針を決めて、指針に適合した製品であることを認定する仕組みを設ける。
②使い捨てプラスチック製品の使用の合理化を目指す
プラスチック製のストローやスプーン・フォークなど、使い捨てプラスチック製品(ワンウェイプラスチック)を提供する小売・サービス業者等が取り組むべき判断基準を決める。
また、使い捨てプラスチック製品を多く提供する事業者への勧告や公表、命令を措置する。
③市区町村の分別収集・再商品化を推進する
プラスチック資源の分別収集を促進するべく、容器包装リサイクル法ルートを活用した再商品化を可能にする。
加えて、市区町村と再商品化の事業が連携して行う再商品化計画を作成。
計画を主務大臣が認定した場合、市区町村における選別・梱包などの中間作業を省略して、再商品化事業者が計画を実施することを可能とする。
④製造・販売事業者等による自主回収や再資源を可能とする
プラスチック製品の製造・販売業者などが、製品を自主回収・再資源化する計画を作成。
計画を主務大臣から認定された業者は、廃棄物処理法の業許可が不要となる。
⑤排出事業者の排出抑制・再資源化
排出事業者が取り組むべき排出抑制や再資源化などの判断基準を決める。
そのうえでプラスチックを多く排出する事業者への勧告や公表、命令を措置する。
また、排出事業者などが再資源化計画書を作成し、主務大臣に認定されれば、認定事業者は廃棄物処理法の業許可が不要となる。
4.提供事業者に求められる取り組み
前項でご紹介したプラスチック資源循環促進法の基本方針を踏まえた上で、提供事業者はプラスチックの資源循環のため主に以下のような取り組みが求められます。
▼プラスチック製品を提供するとき
・プラスチック製のスプーンやフォークなどを有料化する
・提供時にプラスチック製品の必要有無を確認する
・ハンガーなどを繰り返し使用してもらえるよう呼び掛ける …etc.
▼提供するプラスチック製品の工夫
・素材や設計を工夫する(木製スプーン・ストローが不要な構造のカップなど)
・商品やサービスに合ったサイズのプラスチック製品を提供する
・リサイクル可能なプラスチック製品を積極的に導入する …etc.
プラスチック資源循環促進法はプラスチック製品の使用を規制する法律ではなく、循環を目的とした法律です。
ただ使用を禁止するのではなく、上記で挙げたようにプラスチック製品を提供する際に声掛けを行ったり、現在提供しているプラスチック製品の見直しなどが求められています。
5.プラスチック資源循環促進法と広域認定制度の違い
最後に、プラスチック資源循環促進法と広域認定制度の違いについて解説します。
広域認定制度とは、メーカーなどが環境大臣の認定を受けて廃棄物となった製品端材などを広域的に回収し、製品原料等にリサイクルor適正処理をする制度です。
この制度は自社による効率的なリサイクルと廃棄物の適正処理の確保を目的として、平成15年の廃棄物処理法改正に伴い制度化されました。
プラスチック資源循環促進法と広域認定制度はどちらも“自社製品を消費者から回収してリサイクル制度”ですが、以下のような違いがあります。
■プラスチック資源循環促進法
*プラスチック製品のリサイクル拡大・促進を目的としている
*自らが製造・販売・提供した使用済みのプラスチック製品などが対象
*認定基準は“再生”
*マニフェストの運用は不要
■広域認定制度
*廃棄物の減量や適正な処理が確保されることを目的としている
*自らが製造・加工・販売した製品が廃棄物となったものが対象
*認定基準は“再資源化”
*マニフェストの運用は“産業廃棄物となるプラスチック使用製品”は必須
このように両制度はそれぞれ運用の目的や対象品目などが異なります。
マニフェストの運用についても規則が異なるため注意しましょう。
6.“環境への配慮”は、企業を発展させるためにも重要なポイント
循環型社会へ向けた環境への配慮も重視されるようになった近年。
いまや企業評価は業績だけでなく、環境へ配慮した取り組みを行っているかどうかも重視される時代です。
そのため、今後は環境への取り組みが企業の今後の展望にさらに大きく関わっていくことでしょう。
リダクションテクノでは、そんな時代のニーズにも応えられるようリサイクルや環境施策に関するご相談にも対応!
廃棄物処理と合わせてリサイクルも行うことで、環境に配慮しながらコスト削減できるようご提案しています。
その他にも廃棄物に関する様々なご相談にも承っておりますので、廃棄物処理やリサイクルなどについてお悩みを抱えている方は、ぜひリダクションテクノまでお問い合わせください!
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