コラム
産業廃棄物 2020.09.15
省エネ法の概要について解説!事業者が果たさなければならない義務・荷主の定義とは?
環境廃棄物回収業者選定低コスト産業廃棄物
2018年、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)が改訂。認定制度の創設や荷主の定義の見直しなど、事業者にとって重要なことが大きく変更しました。 そこでこの記事では、省エネ法の概要や事業者の義務・区分、荷主の定義などについて解説します。
1.省エネ法の概要
省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)とは、工場等、輸送・建築物及び機械器具等についてのエネルギーの使用を合理化し、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律。石油危機を契機として1974年に制定されました。
省エネ法が規制する事業分野は、工場・事業場及び運輸分野。工場(又は事務所等)の設置者や輸送事業者・荷主に対して、省エネの取り組みを実施する際の目安となるべき判断基準を示すとともに、計画の作成指示等を行うこととしています。
また、自動車、家電製品や建材などといった機械器具等の製造又は輸入事業者を対象として、機械器具等のエネルギー消費効率の目標を示すとともに、効率向上が不十分な場合には勧告等を行っています。
1974年に制定された後、省エネ法は時代に合わせて何度も改訂されてきましたが、2018年に内容がさらに改訂。認定制度の創設や荷主の定義の見直しなど、事業者にとって重要なことが大きく変わりました。
こちらの項目では、2018年に改訂された主な内容についてご紹介します。
・連携省エネルギー計画の認定制度の創設
複数の事業者が連携して省エネに取り組むことを「連携省エネルギー計画」として認定。連携により生じた省エネ量は企業間で分配して報告することができるようになりました。
・認定管理統括事業者の認定制度の創設
上記の認定制度の創設に伴い、“認定管理統括事業者の認定制度”も創設されました。グループ企業の親会社等が認定管理統括事業者として経済産業局から認定を受けた場合には、子会社等と省エネ法の義務の一体的な履行が可能です。
・荷主の定義の見直しと準荷主の位置づけ
これまで「荷主」は貨物の所有者とされていましたが、2018年の改定により「荷主」の定義は、貨物の所有権を問わず、契約等で貨物の輸送方法等を決定する事業者となりました。
さらに、今までは荷物を受け取る側は省エネ努力を求められていませんでしたが、2018年の改定により、到着日時を支持できる荷受け側の事業者を「準荷主」と位置づけ、省エネへの協力が求められるようになりました。
・中長期計画の提出頻度の軽減
工場・事業場及び運輸分野において、省エネ取組の優良事業者(直近過去2年度以上連続で事業者クラス分け評価制度においてS評価を継続している)は、中長期計画の提出頻度が軽 減されるようになりました。
2. 事業者の義務内容・区分
省エネ法では、事業者には以下の取り組みが義務付けられています。
・判断基準に定めた措置の実践(省エネ措置の実施など)
・指針に定めた装置の実践(燃料転換や稼働時間の変更など)
・事業者全体でのエネルギー使用量の把握
さらに、把握した事業者全体の1年度間のエネルギー使用量(原油換算値)の合計値が1,500kl以上だった場合には「特定事業者」もしくは「特定連鎖化事業者」、「認定管理統轄事業者(管理関係事業者を含む)」として区分され、以下の義務が課せられます。
■本社の所在地を管轄する経済産業局に“エネルギー使用状況届出書”を提出
■“エネルギー管理統括者”と“エネルギー管理企画推進者” をそれぞれ1名選任し、本社の所在地を管轄する経済産業局に“エネルギー管理統括者・エネルギー管理企画推進者選任届出書”を提出
■定期報告書(毎年度)および長中期計画書(原則毎年度)を提出
また、合計値が1,500kl以下の場合は行政による指導・助言への対応のみ求められますが、1,500kl以上の場合には指導・助言に加えて報告徴収・立入検査、合理化計画の作成指示への対応等も求められます。
事業者全体の1年度間のエネルギー使用量(原油換算値)の合計値によって義務内容が異なりますので注意しましょう。
3.荷主の定義について
冒頭で“荷主の定義の見直し”について取り上げましたが、「荷主」には二つの定義があります。
一つは、自らの事業に関して自らの貨物を継続して貨物輸送事業者に輸送させる者のこと。簡潔に言うと、貨物輸送事業者に輸送を依頼・契約している者のことです。そのため、荷受側が貨物輸送事業者に依頼・契約している場合は荷受側が荷主となります。
これに該当する者は、“一号荷主”と呼称されています。(改正法第百五条第一号)
しかし、自らの事業に関して他の事業者が貨物輸送事業者に依頼している場合は故障が異なります。
他の事業者との契約またはその他の取り決めにより、当該貨物の輸送方法等を実質的に決定している者として経済産業省令で定められている要件に該当する事業者は“二号荷主”と呼称されています。(改正法第百五条第二号)
輸送方法等を実質的に決定している者とは、具体的に上げると“輸送方法”、“受取日時”、“受取場所”の3つを全て決めている者のこと。発注元事業者が「この荷物を、この輸送方法(もしくは金額)で、●日までに■■まで輸送してください」と指定している場合は、その人が二号荷主となります。
4.荷主の義務。特定荷主の場合は?
省エネ法にて全ての荷主には、以下の取り組みが義務付けられています。
・荷主が所有権を有する貨物輸送についての報告
・技術的かつ経済的に可能な範囲で国が定めた諸基準を遵守すること
・エネルギー消費原単位を中長期的にみて年平均1%以上低減する努力をすること
また、年間度の自らの貨物輸送量が3000万[トンキロ]以上の場合は「特定荷主」と指定されるため、“貨物の輸送量届出書”を管轄地域の経済産業局長宛に提出しなければなりません。さらに「特定荷主」には以下の特別な義務が発生します。
・中長期計画書の作成
年に1回(毎年6月末日まで)、事業所ごとの省エネ責任者の設置やモーダルシフト実施のためのマニュアルを策定するなどといった内容の中長期計画書を作成して、主務大臣に提出する義務があります。
・定期報告
年に1回(毎年6月末日まで)、輸送に係るエネルギー使用量や省エネ措置の実施状況などについて、定期報告書等にて主務大臣に報告する義務があります。
5.荷主が把握するべき範囲
前項でも解説しましたが、荷主には所有権を有する貨物輸送について報告する義務があるため、正確に内容を把握しなければなりません。荷主が把握しなければならない貨物は、一般的に「調達物流」「販売物流」「横もち物流」「廃棄物流」の4つが対象となる可能性があります。
・調達物流
届け出先で検品して所有権を移転する場合は一般的に荷主の把握範囲に含まれませんが、調達側が荷物を取りに行きそこで所有権を移転する場合には調達物流も荷主の把握範囲に含まれるので要注意。契約上の取り決めをしっかりと確認しておきましょう。
・販売物流
一般的に、販売物流は荷主としての輸送範囲に含まれます。しかし、出荷側・販売側が届け先に届けた段階で所有権が移転しないないの場合は範囲に含まれません。
・横もち物流
自社工場間での輸送は、一般的に所有権を持っているとして荷主の輸送に含まれます。
・廃棄物物流
産業廃棄物の輸送は排出者責任の範囲で把握するのが基本とされています。事業系一般廃棄物の輸送に関しては、産業廃棄物を参考にして可能な範囲で把握します。
また、「二次マニフェストが発行されており、収集運搬業者への廃棄物の委託の直積的当事者でない場合」で「輸送形態(トラックの種別等)や着地点などを指定・把握できないため算定が困難である場合」には、算定範囲から除外することができます。廃棄物物流に関しては間にマニフェストを事前にしっかりと確認しましょう。
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