コラム
産業廃棄物 2020.07.20
WDSってなに?廃棄物データシートの記載内容・提出が必要な品目などを徹底解説!
リサイクル廃棄物回収安心第一業者選定産業廃棄物
排出事業者が業者に廃棄物の処理を依頼する際に使用する、WDS(廃棄物データシート)について詳しく解説! WDSの概要や必要性、具体的な記載内容、提出が必要な品目、提出するタイミングなどご紹介します。 産業廃棄物を排出している事業者の方は必見です!
1.“WDS(廃棄物データシート)”とは?廃棄物処理を依頼する際の注意点
産業廃棄物の処分などを業者に委託する際は書面で処理委託契約を行うよう法律で義務付けられており、“委託者の有する適正処理のために必要な事項に関する情報(施行規則第8条の4の2第6号)”を明記しなければなりません。
そんなときに使用されているのが、今回この記事で紹介するWDSです。
1-1. WDSの概要・必要性
WDS(Waste Data Sheet)とは、廃棄物処理を業者に依頼する際に必要となる廃棄物データシートのこと。
社団法人全国産業廃棄物連合会が提供するテンプレートで、廃棄物の処理を依頼する際に用いることが一般的です。
WDSは、依頼主である排出事業者と処理業者が情報を共有するためにも、とても大切な書類。
互いに情報が十分に提供されていないと、適切な処理方法の選択や法令遵守が難しくなってしまう恐れもあります。
不適切な方法で廃棄物を処理された場合、処理業者に加えて、処理を依頼した排出事業者も責任を問われます。
つまり、処理業者が廃棄物について把握するだけでなく、排出事業者が処理業者によって適正に処理されているかどうかや、安全性を確認するためにもWDSは必要なのです。
また、情報提供が十分でないと、水道水質の汚濁などといった生活環境保全上の支障を招く恐れもあるため、環境省でも提出を推奨されています。
1-2.法で定められている主な必要事項
廃棄物情報として必要な項目は17項目。
法律上では、以下の主な必要事項を記載するよう定められています。
■産業廃棄物の性状や荷姿
■他の廃棄物と混合することで生じる支障
■化学物質含有マークの表示に関する事項
■石綿含有産業廃棄物の有無
必要事項が記載されていれば、書式は任意で作成可能です。
なお、環境省のホームページにてWDSのテンプレートやガイドラインが公開されているため、下記も参照ください。
参照:廃棄物情報の提供に関するガイドライン(環境省)
2.具体的な記載内容
続いて、WDSへの記載が必須な17項目をご紹介します。
■作成年月日
WDSを作成した年月日
■排出事業者名称
緊急用の連絡先として、社名・所在地・部署・担当者名・連絡先
■廃棄物の名称
・法律上の表記にはこだわらず、具体的な廃棄物の名称・呼び名
・例えば「廃プラスチック」と品目を記載するのではなく、「ビニールくず」や「発砲スチロールくず」など固有名称を記入すること
【例】廃油→動植物性油脂、廃潤滑油、鉱物性油、絶縁油、廃切削油、廃溶剤類etc
金属くず→切削くず、研磨くず、空き缶、金属スクラップetc
■廃棄物の組成・成分情報
・廃棄物の組成・成分
・混合比率が高いと思われる順に記入すること
・なお、組成・成分情報にばら付きがある場合は振れ幅を想定して記入
【例】水:40~55%、苛性ソーダ(NaOH):40~50%、グリセリン:5~10%
■廃棄物の種類
・法律上の区分に従い以下をレ点でチェック
①「産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」どちらに該当するか
②詳細な品目
・ちなみに、該当する選択肢がない場合(有害物質が付着した廃プラスチック類など)は、その他欄に直接記入
■特定有害物質
・法律上の埋立基準が設定されている有害物質が、含まれているか
・有害物質が含まれている場合は○、含まれていない場合は✕、可能性がある場合は△と書くこと
■PRTR対象物質
・PRTRとは、人間や生態系に有害な化学物質を排出する事業者が、排出量や移動量を公表する制度
・排出事業場がPRTR法の届出対象事業場であるかどうかを記入
・なお、委託する廃棄物が第一種特定化学物質を含んでいる場合は、具体的な物質名も記載必須
■水道水源における消毒副生成物前駆物質
・浄水場の機能を妨げる8つの物質を含んでいる場合は、レ点でチェック
・該当する8つの物質は次の通り
①ヘキサメチレンテトラミン(HMT)
②1,1-ジメチルヒドラジン(DMH)
③N,N-ジメチルアニリン(DMAN)
④トリメチルアミン(TMA)
⑤テトラメチルエチレンジアミン(TMED)
⑥N,N-ジメチルエチルアミン(DMEA)
⑦ジメチルアミノエタノール(DMAE)
⑧1,1-ジメチルグアニジン(DMGu)
■その他含有物質
・その他上記以外の廃棄物を処理する際や処理後に問題となる代表的な物質が明記されている
・この項目は、特定物質の欄と同様に〇×△のいずれかを記入すること
・分析表添付で省略可能だが、組成・成分が分かる分析が別途必要
■有害特性
・爆発性・感染性・急性毒性など、廃棄物を処理する過程で問題となる特性が列挙されている項目
・「有」「無」「不明」のいずれかを丸で囲み、「有」の場合は該当する項目をレ点でチェック
・なお、「不明」の場合は処理業者と今後の対応を十分に協議すること
■廃棄物の物理的・化学的性状
・形状・臭い・色など、廃棄物の物質的・科学的な性質を示す項目をわかる範囲で記入
・全ての項目を記入する必要はありませんが、廃棄物を適正に処理するため必要と考えられる項目を埋めること
【例】廃液→臭い・色・pH・沸点などを記入
■品質安定性
・排出した廃棄物の性状が時間の経過により変化する場合は、処理過程で問題となる恐れがある項目(腐敗・揮発・化学反応等の経時変化)を記入
・問題となる恐れがある場合は、具体的に何が原因でどのような変化が起こるのかも記載すること
■関連法規
・稀に、排出した廃棄物が、廃棄物処理法以外の規制対象となるケースもある
・こちらの項目では以下のような関連する資格と法規の内容が明記されているので、当てはまるものを記入すること
①危険物取扱者(消防法)
②特定化学物質等作業主任者(労働安全衛生法)
③有機溶剤作業主任者(労働安全衛生法)
④毒物劇物取扱責任者(毒物及び劇物取締法)
⑤悪臭防止法
■荷姿
廃棄物を輸送する際の荷姿を記入
【例】容器(ドラム缶)、車両(バキューム車)etc
■排出頻度・数量
「スポット」と「継続」のいずれかを選んで、数量を記入し、単位を選択
※「継続」の場合は、“年・週・日”も選択
■特別注意事項
・廃棄物を取り扱う際、必要と考えられる注意事項を記入
・注意事項がある場合は、下記のように具体的な内容や推奨する処理方法を記載
【例】廃油:焼却蒸留設備で再生
廃酸・廃アルカリ:中和、焼却、イオン交換設備で再生
■その他情報
発生工程やサンプルの有無などを記入
※なお、WDSの入手については、各都道府県の「社団法人 産業廃棄物協会」までお問い合わせください。
3.WDSの提出が必要な廃棄物・業者へ渡すタイミング
廃棄物には、WDSの提出が必要な種類があります。
適用対象となるのは、見た目から含有廃棄物や有害特性が判りにくい以下の4品目です。
・汚泥
・廃油
・廃酸
・廃アルカリ
その他にも、ばいじんや鉱さい、燃え殻などでも、付着・混入等によって有害物質等を含有するといった、環境保全上支障をきたす可能性が考えられるものも対象となります。
つまり、“見た目から含有廃棄物や有害特性が判りにくいかどうか”を軸にして考えると分かりやすいでしょう。
WDSを渡すタイミングは、一般的には廃棄物処分委託契約書を交わす時。
契約前に処分業者と情報を共有したうえで、廃棄物処分委託契約書と一緒に添付するのが望ましいとされています。
中にはWDSを提出しない工務店やリフォーム会社もありますが、WDSが提出されないと処理先の確保が困難になり、廃棄物が適正に処理されないという事例も多くあります。
廃棄物を適正に処理しないと依頼主である排出事業者も罪に問われるため、WDSは必ず提出しましょう。
なお、性状が明確であり環境保全上支障をきたす恐れのない廃棄物に関しては、WDS以外の情報提供も可能とされています。
WDS以外で情報提供する際は、サンプルや写真、分析表などを用います。
4.WDSは正しく運用しよう!記載内容等には要注意
以上のように、WDSは廃棄物を適正に処理するために必要な情報をまとめた書類です。
水道水質の汚濁などといった環境汚染を起こさないためにも、依頼主である排出事業者と処理業者が情報を共有するためにも欠かせない存在です。
もし廃棄物の処理が適切な方法で行われていなかった場合には、依頼主である排出事業者にも責任が問われるため記載する際には注意しましょう。
排出事業者からの事前の情報提供が不十分で、排出事業者と処理業者間での情報共有が適切でないと、トラブル発生の恐れもあります。
罰則を科されたり、会社のブランドイメージを下げたりしないためにも、WDSは正しく運用しなければなりません。
廃棄物処理を業者に依頼する際には、WDS(廃棄物データシートを適正に運用してリスクを低減しましょう!
なお、リダクションテクノでは廃棄物に関するお悩み全般に応じています。
産業廃棄物の処理で悩んでいる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください!
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