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産業廃棄物 2024.04.24

特定有害産業廃棄物“シアン化物”とは?種類・毒性の高さ・処分方法・取り扱う際の注意点などを詳しく解説

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天然の青酸を含む有害物質“シアン”は、例え少量の摂取でも死に至る恐れがあるため取り扱いには注意が必要です。 そこでこの記事では、シアンの種類や毒性の高さ、シアン化物を含む特定有害産業廃棄物について詳しく解説! 特定有害産業廃棄物を収集運搬・処分する際の注意点や、法律で定められているルールをご紹介します。

1.シアンとはどんな物質?

まずは、シアンの概要について解説します。

 

シアンとは、炭素と窒素を化合した天然の青酸を含む有害物質の総称。

青酸化合物や青酸塩、青化物などと呼ばれることもありますが、一般的には“シアン化物”が有名です。

 

シアン化物はシアン化物イオンもしくは広義にシアノ基を含んだ物質で、炭素と窒素が一つずつ結合したものを指します。

主に工業プロセスや化学反応、金属の抽出に使われていますが、シアン化合物は人体にとって非常に有毒性を発する恐れがあるため要注意。

シアン化合物はシアン化物イオンが外れ、水素イオンと結合して“シアン化水素“になると毒性が非常に高くなります。

少量の摂取でも死に至る恐れがあるため、取り扱いには注意しなければなりません。

 

 

2.様々な種類・毒性

ひとくちにシアン化物といっても、結合する物質によって種類は様々。

種類によって毒性の高さなども以下のように異なります。

 

2-1.金属シアノ錯体

“金属シアノ錯体”とは、金属を中心にしてシアン化物イオンが結合した物質のこと。

毒性の強さは中心の金属によって異なります。

例えば、亜鉛やカドミウムを中心としている場合は毒性が非常に高いですが、鉄を中心としている場合は比較的毒性が低いです。

 

2-2.シアン化物イオンにナトリウムなどの金属が結合した物質

シアン化物イオンと金属が対になって結合した物質は、毒性が非常に高いです。

特に有名な物質といえば“青酸カリ”でしょう。

青酸カリはカリウムとシアン化物イオンが結合した物質で、口や傷口から摂取・吸収してしまうと呼吸困難などを引き起こします。

 

2-3.有機化合物の中にシアノ基を含む物質

具体的な例を挙げると、アクリル繊維の原料である“アクリロニトリル”などが該当します。

アクリロニトリルは燃焼して分解すると、有毒なシアン化水素を発生させるため注意が必要です。

そのほかにも、ウメやビワといったバラ科植物の種子や熟していない果実にもシアン化合物のアミグダリン”やプルナシン”が多く含まれています。

これらは体内で分解されるとシアン化水素を発生するため、大量に摂取しないよう気を付けましょう。

 

 

3.シアン化物を含む特定有害産業廃棄物とは

前述したように、シアン化合物は毒性を持つ物質のため“特定有害産業廃棄物”に指定されています。

特定有害産業廃棄物とは、爆発性や毒性、感染性のある“特別管理産業廃棄物の一種。

その中でも、重金属やPCB、ダイオキシンといった特に有害性の高い物質を含んでいるものが特定有害産業廃棄物とされています。

たくさんある廃棄物の中でも、最も危険で取り扱いに注意が必要な廃棄物といえるでしょう。

 

特定有害産業廃棄物に該当するものは以下の通りです。

 

廃PCB等 廃PCB(原液)及びPCBを含む廃油
PCB汚染物 ・PCBが染みこんだ汚泥

・PCBが塗布され、または染みこんだ紙くず

・PCBが染みこんだ木くず、繊維くず

・PCBが付着し、または封入されたプラスチック類、金属くず

・PCBが付着した陶磁器くず、がれき類

PCB処理物 廃PCB等またはPCB汚染物を処分するために処理したもので、環境省が定める基準に適合しないもの*1
廃水銀等およびその処理物 ・特定の処理施設*2において生じた水銀

・水銀もしくはその化合物が含まれている産業廃棄物、または水銀使用製品が産業廃棄物となったものから回収した廃水銀

指定下水汚泥 下水道法施行令第13条の4の規定により指定された汚泥*3
鉱さい 重金属等を、一定濃度を超えて含むもの*4
廃石綿等 石綿建材除去事業に係るもの、または大気汚染防止法の特定粉じん発生施設が設置されている事業場から生じたもので飛散する恐れのあるもの
燃え殻 重金属等、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの*5
ばいじん 重金属等、1,4−ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの*6
廃油 勇気塩素化合物等、1,4−ジオキサンを含むもの*7
汚泥、廃酸または廃アルカリ 重金属等、PCB、有機塩素化合物等、農薬等、1,4−ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの*8

※1~8の詳細については環境省のホームページをご参照ください。

参照:特別管理廃棄物規制の概要(環境省ホームページ)

 

 

4.特定有害産業廃棄物の処分について

最後に、シアン化物を含む特定有害産業廃棄物の処分方法などを詳しく解説します。

 

前項にてご紹介した特定有害産業廃棄物を含む、特別管理産業廃棄物は生活環境の保安上支障のないように保管・処理基準が法律で明確に定められています。

収集運搬・処分する際には、法律にのっとって正しく処分しなければなりません。

 

なお、特定有害産業廃棄物には判断基準が設けられているものの、実際は特定有害物質を含んでいる産業廃棄物全般を特定有害産業廃棄物として処分するケースが多いです。

 

爆発性や毒性を有する特別管理産業廃棄物を取り扱う際は、排出する事業者や事業場は処理業務を適切に行うために“特別管理産業廃棄物管理責任者”を置くよう、法律で定められています。(法第12条の2第8項)

特別管理産業廃棄物管理責任者の役割は、事業場における特別管理産業廃棄物の管理全般業務を廃棄物処理法に基づいて適正に行うこと。

特別管理産業廃棄物管理責任者は、事業場の特別管理産業廃棄物の管理業務を廃棄物処理法に従って適正に行わなければなりません。

もし特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなかった場合には、30万円以上の罰金が課せられますので注意しましょう。

 

【こちらの記事も合わせてご覧ください】

特別管理産業廃棄物管理責任者とは?役割や必要な資格・経歴、取得までの流れについて

 

 

5.シアン化物を含む特定有害産業廃棄物の取り扱いには要注意!

ご紹介したようにシアンは、天然の青酸を含む有害物質の総称。

一般的には、シアン化物としてよく表現されています。

シアン化物は工業プロセスや化学反応、金属抽出など幅広い用途で使用されていますが、シアン化水素になることによって毒性を示すため取り扱いには気を付けなければなりません。

 

また、シアン化物を含む特定有害産業廃棄物は“特別管理産業廃棄物”の一種に含まれるため要注意。

特別管理産業廃棄物は産業廃棄物の中でも、爆発性や毒性、感染性を持ち人々の健康や環境に悪影響をもたらすもので、その中でも特定有害産業廃棄物は特に危険性が高い廃棄物を指します。

特別管理産業廃棄物は保管・処理基準が法律によって明確に定められており、危険物の処理に関する業務を適切に遂行するためには、特別管理産業廃棄物管理責任者を選任が必須です。

正しい方法で処分しなかった場合や、特別管理産業廃棄物管理責任者を設置しなかった場合には罰則が課されるので注意しましょう。

 

ちなみに、リダクションテクノでは今回ご紹介したシアン化物を含む特別有害産業廃棄物や、特別管理産業廃棄物を含む幅広いご相談に対応!

その他にも、リサイクルやコスト削減など、廃棄物に関する様々なご相談にも対応可能です。

 

廃棄物やリサイクルに関してお悩みを抱えている方は、お気軽にお問い合わせください!

 

 

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