コラム

産業廃棄物 2020.10.21

最終処分場(埋立地)の区分・構造について。世界の最終処分場の事情も解説!

リサイクル環境再資源化産業廃棄物廃棄物

再利用や再資源化が困難なものを処分する最終処分場は、私たちの生活にとってなくてはならない存在。しかし、最終処分場がどんな構造になっているのかなど詳細についてはわからないという方も多いのではないでしょうか?そこでこの記事では、最終処分場の区分や構造、世界の最終処分場の事情などについて詳しく解説していきます!

1.最終処分場とは?

そもそも最終処分場とは、不要品のうち「リユース(再利用)」「リサイクル(再資源化、サーマルリサイクルを含む)」が困難なものを処分するための施設のことを指します。ゴミ処分場、ゴミ埋立地、埋め立て処分場などとも呼ばれることも多いです。

最終処分場はただ廃棄物を処分するだけでなく、環境保全の観点から、汚水の外部流出や地下水汚染、廃棄物の飛散・流出、ガスの発生、そ(鼠)族昆虫の発生等を防止するために、設備や構造がしっかり整えられています。

 

2.最終処分場の区分

日本では廃棄物処理法で定められた廃棄物の種類ごとに、処分場の種類・構造が規定されており、最終処分場は二つの区分に分かれています。

一つは、「一般廃棄物最終処分場」。市町村が収集・運搬・処分の義務を負う、産業廃棄物以外の廃棄物を処分する場所です。

そしてもう一つは、「産業廃棄物最終処分場」。産業廃棄物を処分する場所で、都道府県が監督しています。処分場の運営主体は都道府県や市町村が担当している場合もありますが、民間が運営していることが多いです。

 

3.最終処分場の構造

続いて、最終処分場の構造を国内における利用順位に沿って解説します。最終処分場は、処分場内部の水と公共市域や地下水をどのように隔てるかによって構造が異なります。

 

3-1.安定型最終処分場

安定5品目(廃プラスチック類・金属くず・ガラス陶磁器くず・ゴムくず・がれき類)のうち除外項目に該当しない、環境に影響を与えない産業廃棄物のみ埋め立てる処分場。日本で最も多く利用されている処分場です。

地下水への浸透を防ぐ遮水工や、公共水域への浸出水を処理する浸出水処理施設の設置は義務付けられていませんが、搬入した産業廃棄物の展開検査と、浸透水の定期的な水質分析の実施は義務付けられています。

 

3-2.管理型最終処分場

管理型最終処分場は、遮断型最終処分場でしか処分できない産業廃棄物以外のものが埋め立て処分される場所。具体的に挙げると、廃油(タールピッチ類)、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物のふん尿、動物の死体、燃え殻、ばいじん、汚泥、鉱さい等、およびその廃棄物を処分するために処理したものが(施行令第2条第13号)が該当します(施行令第7条第14号ハ)。

上記の大部分の廃棄物は、低濃度の有害物質と生活環境項目の汚濁物質を発生させます。もしくは埋め立て後、次第に分解し、重金属や窒素、酸・アルカリなどを含んだ浸出水が生じることも。

そのため、管理型最終処分場ではゴムシートなどによる遮水工と浸出水処理施設等が設置されており、水質試験やモニタリングを行い管理しています。

 

3-3.遮断型最終処分場

日本で最も利用されていないのは、重金属や有害な化学物質などが基準以上に含まれている有害な産業廃棄物を保管する処分場。廃棄物中の有害物質が自然に流出するのを防ぐために、処分場内への雨水の流入防止を目的として、屋根等の覆いや雨水排除設備(開渠)が設けられています。

有害な廃棄物は無害化することはありません。公共水域と地下水から永久に遮断し続けるように管理し続ける必要があるので、遮断型最終処分場は厳重な構造設置基準にてつくられており、保有水の漏出管理も厳重に行われています。

 

4.世界の最終処分場の事情

ここまでご紹介してきたのは、あくまでも日本の最終処分場についてです。最後に、世界各国の最終処分場の事情についてご紹介します!

 

4-1.開発途上国

経済成長の途中にある開発途上国は財政的に困窮している国が多く、社会基盤整備が廃棄物処理まで及んでいない傾向にあります。例え先進国の廃棄物を受け入れられる最終処分場が建設されたとしても、管理水準は期待できないといえるでしょう。

ほとんどの開発途上国では有価物を拾い集めて生計を立てる人々がリサイクルや廃棄物減量の大きな役割を果たしていますが、劣悪な生活環境の改善が必須です。

 

4-2.新興工業国

20世紀に輸出産業を軸として急速な工業化を遂げた新興工業国では、人口の集中および生活水準の向上によって、都市ゴミの処理に苦慮していることが多いです。

また、法整備の遅れや国民の意識の低さによる産業廃棄物の未処理投棄が常態化し、環境汚染が急激に拡大していると見られています。

この問題に対して適切な最終処分場の建設は重要かつ必要な対策ですが、現状ほとんどの地域で手つかずの状態となっています。

 

4-3.旧東欧諸国

ブルガリアやルーマニア、ハンガリーなどといった旧東欧諸国では未処理投棄が多く、リサイクルや最終処分場の建設も進んでいないのが現状です。また、焼却に対する抵抗感が強いため、中間処理を行わずに廃棄物を直接埋め立てる例が多いです。

さらに、東西対立時代の負の遺産として、中には有害廃棄物の大量投棄地を抱えている国もあります。

 

4-4.EU

イタリアやドイツ、フランスなどといったEU加盟国では、昔は有機性廃棄物を直接埋め立てることが多かったですが、1999年に公布されたEU埋立指令でこの問題が全面的に転換し、20年で3分の1の量にすることが決められました。

この埋立指令では、最終処分場として有機物・有害廃棄物・非有害廃棄物・安定廃棄物の4種が規定されており、中間処理が義務付けられています。

 

5.最終処分場の寿命は…?!私たちが今日からできることとは

私たちの生活に欠かせない最終処分場。ところが最終処分場は全国平均で、あと20年ほどで寿命を迎えると環境省から発表されており、問題視されています。

「ゴミを埋め立てる場所がないなら新たに増やせばいい」と考える方もいますが、土地の確保や周辺住民の理解、環境への影響など、新たに埋め立て地を増やすのは簡単とはいえません。最終処分場を新設するのに最も問題となるのは、新設許可がほぼ取得できないこと。最終処分場の新設には、近隣住民や漁協、水利権などが複雑に絡むため難しいのです。

ちなみに、現在人口の多い東京都では、江東区の東京湾にある新海面処分場に廃棄物を埋め立てています。この新海面処分場は当初寿命が30年程度だといわれていましたが、今ではリサイクル技術などの向上により、寿命がおよそ50年程度まで延びました。

このように、最終処分場の寿命が差し迫っているいま、私たちはリサイクル活動などを積極的に行うことによって、埋め立て地の問題をできるだけ先延ばしにしなければなりません。上記でも説明したように、あらたに最終処分場を設置することは難しいですが、最終処分場の問題に関して、私たちでも今日から始められることがあります!

 

それは、身近なところから3R(リデュース・リユース・リサイクル)を徹底すること。

 

・<Reduce>無駄にゴミを出さない

無駄なものや必要ないものを買わない・過剰包装を断る・食品を無題にしない…etc

 

・<Reuse>何度も繰り返し使用する

不用品は捨てずに知り合いなどに譲る・詰め替えできるボトルや容器を使用する…etc

 

・<Recycle>ゴミをリサイクルする

 市区町村のルールに従いゴミを分別する・積極的にリサイクル製品を購入する…etc

 

埋め立て地の問題をできるだけ先延ばしできるように、上記の3Rを徹底して生活していきましょう!

廃棄物でお困りの際は、ぜひリダクションテクノまでご相談ください!

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